keyss置き場

Twitter(X)にツイートした140字SSをまとめました。細部修正して元ツイートと異なっている部分もあります。ほとんどCLANNADネタですが、稀に他のKey作品ネタも。

基本的にツイート日時の古い順で、SSのタイトルは該当ツイートにリンクしています。Twitterモーメント「#keyssまとめ」でも閲覧できるよ(Twitterモーメントは廃止されたため、現在まともに表示できません)。

CLANNAD

岡崎・春原コンビ
三年のクラス替え

「よぅ、岡崎。今年も同じクラスだね」

「留年は免れたか」

「お互いにね。まぁ最後の一年も楽しくやっていこうぜ」

「……ああ」

「反応薄いっすね。つーか珍しく素直じゃん」

「たまにはな」

あまり認めたくはなかったが、クラス表にこいつの名前を見つけた時に安堵したのだけは事実だった。

ボウリング

「放課後だぞ岡崎っ」

「見りゃわかる」

「ボウリングしようぜ!」

「唐突だな……つーか、この町にボーリング場なんてないだろ」

「ボーリングじゃなくてボウリング。ドゥーユーアンダースコア?」

「やけに発音にこだわるのな、おまえ。でも英語間違ってたら台無しだからな」

梅雨

「おはよう岡崎!」

「もう放課後だからな。また寝てたのか」

「起きてたけど土砂降りだったからね。晴れ男も梅雨には勝てず……」

「おまえって晴れ男なの?」

「名前からして晴れ晴れとしてるでしょ。ようへいの『よう』は?」

「妖怪の『妖』」

「太陽の『陽』だよっ!」

七夕

「春原、ラグビー部が呼んでるぞ」

「マジで!?」

「嘘だ」

「嘘かよ!」

「でけぇ竹が玄関前にあったんだが」

「急に話変わりますよね……。七夕だってさ。美佐枝さんが」

「ガキかよ」

「毎年やってるみたいだけどね」

「へぇ……」

あの人、何か願い事でもあるのだろうか。

8月6日

「今日は8月6日、僕の日だね」

「そうだな、春原の日だ」

「でしょ?」

「おまえ、縛られて吊るされたり、薄く切られたりしてそうだもんな」

「絶対違うことだろうけど一応訊くよ。なんでだよっ!」

「ハムの日だろ?」

「ハンサムの日だよっ!」

「……」

「真顔で無言!?」

8月6日(春原陽平バッドエンドver.)

フラグON

「今日は8月6日、僕の日だね」

「そうだな、春原ハンサムの日だ」

「でしょ?」

「おまえ、顔が光輝いてて見えないくらい超ハンサム」

「褒められた気しないんですけど、それ」

「春原ハンサムの顔は俺以外の誰にも見せたくないんだよ」

「ひいいぃぃぃーーっ!」

「来たぜ海! よしナンパしようぜ岡崎っ」

「しねぇよ……」

「そう言わずにさ、ふたりのほうが成功率高いんだよ」

「成功したことないだろ」

「だから、これから成功するんだって」

「じゃあ、おまえを砂浜に埋めるから、その状態で声をかけろ」

「それ、罰ゲームですよね……」

海(鷹文&河南子)

「ねぇねぇ鷹文、さっき妖怪首だけ男にナンパされたよっ」

「人多いんだからあんまりうろうろするなよ」

「じゃあアイス百本買ってきて。鷹文は河南の水着姿が目当てなんだろ? 見物料」

「砂浜に埋めるか」

「ええーっ、それだと水着見えないっしょ!」

他の男に見せたくないし。

帰省

「暑ぃ」

「夏休みだし、実家帰れよ。ここより涼しいだろ?」

「帰らねぇよ」

「なんでだよ。また封印されるからか」

「一度は封印されてたみたいに言わないでくれますかねぇ……」

「じゃあもう丸坊主にしろよ。少しは涼しくなるだろ」

「そこまでして涼しくなりたかねぇよっ!」

スイカ

「いいもん仕入れてきたぞ、岡崎」

「おお……でけぇスイカだな。おまえが産んだのか」

「産むかっ! 実家から送られてきたんだよ」

「へぇ。じゃあスイカ割りしようぜ」

「そいつぁクールだね」

「おまえスイカ役な」

「おう!……って、なんでスイカあるのに僕がスイカ役やるんすかねぇ!」

9月1日

「岡崎久しぶりっ。新学期だね」

「昨日ぶり。こんな時だけ朝から来るのな、おまえ」

「夏休みは何してた?」

「おまえの部屋でゴロゴロしてた」

「僕なんか日焼けしちゃってさぁ」

「隣町の日焼けサロンに通ってたもんな」

「ちゃんと夏休み明けのイケてるトークしてくれよっ!」

春原コーヒー

「ふぅ……やっぱ食後のコーヒーは最高だね」

「俺にも春原コーヒーくれ」

「そんなブランドみたいに言われても出ねぇよ。自分で岡崎コーヒーいれてくればいいだろ」

「じゃあ春原茶でいいから」

「岡崎茶いれろっての」

「春原水で」

「どんだけ自分で動きたくないんだよっ!」

すのじい

「なぁ春原」

「なんだよ……お茶なら出ないぞ」

「……」

「黙り込むなよっ」

「……お茶」

「んで結局言うのかよっ。僕はおまえの小間使いじゃねぇっつーの」

「頼むよ、すのじい~」

「じいでもねぇし」

「百戦錬磨の執事で、最強のお茶くみなんだ」

「なんか格好いいけど最後がおかしいだろ!」

辞書という名の武器

「助けてくれ岡崎っ」

「じゃあな」

「登校してすぐに帰ろうとするなよっ!」

「どうせまた厄介事だろ」

「頼むから聞いてくれよっ」

「わかったわかった。言ってみ」

「さっき藤林杏が辞書貸せって言ってきたんだ」

「……それはやばいな」

「でしょ?」

「あんたらねぇ……」

人のいない通学路

「よぅ岡崎。こんな時間に登校なんて、いいご身分だねぇ」

「堂々とよく言えるな。すげぇよ」

「まぁね!」

「また寝坊か」

「いや、なんか風邪っぽくてさ」

「おまえ風邪引かないだろ」

「どうせ馬鹿は風邪引かないっつーんだろ?」

「妖怪は病気もなんにもないし」

「妖怪じゃねぇっての!」

剥き出しの春原

「岡崎、放課後だぞ」

「毎日同じこと言ってるよな、おまえ」

「そう?」

「ワンパターンなんだよ。少しは工夫しろ」

「どうすりゃいいんだよ」

「放課後って解放感あるじゃん」

「あるね」

「解放された春原が全裸になるってのはどうだ?」

「んな解放感、嫌だぁーっ!……って、なるかっ!」

帰省

「今年は実家に帰るんだろ?」

「そりゃ就活あるし、帰るけど」

「終活か。いつも死と隣り合わせだもんな、おまえ」

「字が違いますよね…」

「よくわかったな」

「人ごとみたいに言ってるけどさ、岡崎はどうすんの?」

「……」

こいつと馬鹿やって過ごす時間はもうない。改めて強く実感した。

センチメンタル・オータム

「山が色づいて、もうすっかり秋だねぇ……」

「……」

「熱なんかねぇよ!」

「似合わねぇこと言うからだ」

「僕だって、たまにはおセンチな気分になることもあるのさっ」

「微妙に古いな。で? 何がおセンチなんだよ」

「いや、遊んでられるのもあと少しだなって」

「……」

「熱ねぇっての!」

四季を彩る秋原

「学食いこうぜ、岡崎っ」

「そうだな。いくか、秋原」

「誰だよ……いきなり変な呼び方するなっての」

「季節に合わせてみた」

「合わせんでください」

「おまえの頭も、季節に合わせて色を変えてくれ」

「変えるかっ」

「冬になったら散るんだ」

「ますます嫌だよっ!」

四季を彩る冬原

「おい、もう冬だぞ冬原。そろそろ散る季節だろ」

「冬原じゃねぇし、そもそも散らねぇよ!」

「季節に合わせようぜ、SNOW原」

「なんかそれ、割と格好いいよね」

「雪野原って感じだな。一面、雪景色なんだ」

「風流だねぇ」

「そんなわけだから、今すぐ頭を真っ白にしてくれ」

「するかっ!」

四季を彩る春原

「おい春が来たぞ春原。冬眠してないで起きろ」

「ハルハラじゃねぇし冬眠してねぇし、このネタ何度目だよ……」

「三度目だ」

「答えなくていいから。どうせ春らしく髪ピンクにしろとか言うんでしょ?」

「花を咲かせろ」

「無理だよっ!」

「おまえならできる」

「できたら人でないんですけど」

「ヒトデないんですかっ! では風子が差し上げます。どうぞ」

「あ、ああ……サンキュー」

四季を彩る夏原

「暑ぃ……」

「夏だからな」

「んなこたぁわかってるよ……」

「そしておまえは夏原だ」

「ぜんぜんわかってねぇ!」

「夏原妖怪。この季節にぴったりの名前じゃん」

「うれしくねぇし、妖怪じゃなくて陽平だし、そもそも夏原じゃねぇっつーの!」

「次は息継ぎなしで言って」

「言うかっ!」

智代アフターアフター春原

病院帰りの商店街。ここは今も昔と変わらない。レトロなおもちゃ屋、放課後にあいつとよく遊んだゲーセン……。

そこを抜けると、数年見ない間に大きく変わってしまった駅周辺の光景。

「……またね」

これが見納めになるかもしれない。そんな不安を打ち消すように呟いて、僕はこの町を後にした。

岡崎家関連
父の日

「おっ、今日の晩飯は豪勢だな」

「父の日なので奮発しちゃいました」

「そういやそんな日あったな」

「ちち?」

「しおちゃん、父の日はパパに感謝する日です」

「パパは、ちち?」

「ああ、パパは汐の父だぞ」

「かんしゃー」

娘の笑顔を見ながら俺は心の中で父さんに感謝した。

結婚前夜

いよいよ明日、俺と渚は結婚する。

「思ったよりすることがたくさんあって大変だったな」

「はい。でも朋也くんとずっと一緒だったので平気です」

「渚……」

準備の仕上げも一緒にと、ふたりで婚姻届に名前を記入する。結婚式のケーキ入刀よりもずっと前から、夫婦の共同作業は始まっていた。

お月見だんご大家族

「わぁ……だんごがいっぱい」

「しおちゃん、今日は十五夜です。だんごをお供えしてお月見をしましょう」

「うんっ!」

「だんご、だんごっ」

「だんご大家族が歌いたいだけだよな、おまえ」

「ばれてしまいました、えへへ。パパにはこれをどうぞ」

「おっ、月見酒か。いいねぇ」

恒例の誕生日プレゼント

「渚、誕生日おめでとう」

「ありがとうございます」

「今年のだんごはこれだっ」

「これは……クッションですか」

「ああ。弾力があって快適に座れそうだぞ」

「座りませんっ。だんごがかわいそうですっ」

「いや、クッションってそういうもんだからな」

照明

設置したばかりの街灯が周囲を明るく照らす。

「よし」

この瞬間はいつも心躍る。同時に脳裏をよぎったのは、学生時代の小さな後悔。

(演劇の役割分担、適当に決めちまったけど……照明は俺がするべきだったな)

街灯を見上げながら感傷にひたる。

渚を……愛する人をこの手で照らしたかった。

仕事納め

「お疲れさまです、芳野さん」

「おう。岡崎は今日で仕事納めか」

「はい。今年もお世話になりました」

「おまえも現場監督が板についてきたな」

「いえ、俺なんてまだまだっす」

「謙遜するな。渚さんと汐ちゃんへの愛が、おまえをここまで育てたんだからな」

嬉しいと同時に恥ずかしかった!

伊吹風子関連
伊吹風子生誕祭

「今日、おまえの誕生日だよな」

「どうして岡崎さんが知ってるんですかっ」

「公子さんに聞いたんだ。つーわけで何が欲しい?」

「今聞くんですかっ!」

「まぁいいじゃん。ほら言ってみ」

「何もいらないです」

「なんでだよ」

「もう何かもらったような気がしますので……」

話している相手をすり替える LV2(幸村ver.)

「……わしが岡崎だの」

「わーっ! 岡崎さんヨボヨボになってます! 腰も曲がりまくりですっ。一体どうしたんですかっ」

「……たまに老けるでの」

「そんな簡単に老けるんですかっ! もしかして玉手箱を開けたんですかっ」

「……とりあえずの」

「開けてしまったんですかっ!」

ハロウィン

「トリックオアトリート☆(←実はヒトデです)」

「言っておくが風子、ハロウィンで菓子もらうのは子供だからな」

「そうなんですか。では大人の風子は悪戯のほうにします」

「それも子供だろ」

「どうすればいいですか」

「ヒトデでも眺めてろ」

……

「さて、悪戯するか」

願いが叶う時

「結婚おめでとう、おねぇちゃん、ユウスケさん」

どこかで見たことがあるような幸せな風景の中、風子はおねぇちゃんたちに木彫りのヒトデを渡しました。

「ありがとう!」

ずっと待ってくれていたふたりの幸せのためにも、風子はがんばります。

そう、楽しいことは……これから始まりますっ!

先輩春風を吹かす

「あ、髪の色がヘンな人」

「相変わらず失礼な子だね。つーか僕先輩だよ、もっと敬えっての」

「どうすればいいですか」

「後輩は先輩の言うことに黙って頷くもんさ」

こくん。

「おっ、わかってるじゃん。じゃあ先輩に昼飯おごってくれよ」

こくん。

……

「って、頷くだけかよっ!」

先輩春風を吹かす2

「風子ちゃんはさ、なんていうか変わってるよね」

「いきなり失礼なこと言わないでください、髪の色がヘンな人っ」

「いや、悪い意味じゃないって。つーか君も失礼ですよね……春原先輩だっての」

「春原先輩」

「うんうん、いい響きだねぇ」

「ジュース買ってきてください」

「パシリかよ!」

黒原陽平

「髪の色がヘンな春原さん略してヘン原さんの髪がヘンじゃなくなってますっ」

「それ、略す意味あるんすかねぇ……」

「もしかして……脱皮したんですか」

「ああ、ウーパールーパーだからな」

「おまえが答えんなよ岡崎っ」

「嘘ですっ! ウーパールーパーは脱皮しませんっ」

『マジで!?』

早苗パンの日
1

「毎月12日はパンの日だ」

「いらないっす」

「まだ何も言ってねぇだろ……」

「わたしのパンは……わたしのパンはっ……言うまでもないんですねーーっ!」

「まだ何も言ってねぇが俺は大好きだーーーーっ!」

>天丼パン

2

「毎月12日はパンの日だ」

「いらないっす」

「今月は天丼パンじゃねぇから安心しろ」

「不安っす」

「カツ丼パンだ」

「聞けよ……」

「おまえ、カツ丼食いてぇっつってたんだろ? 渚から聞いたぞ」

「じゃあカツ丼だけくれ」

「そいつぁ無理だな」

どんぶりがパンだった!

3

「毎月12日はパンの日だ」

「いらないっす」

「今月は牛丼パンだ」

「丼シリーズやめろ……」

「なにぃ! パンと飯の組み合わせが壊滅的だとぉ!」

「言ってないっす」

「わたしのパンは……わたしのパンはっ……壊滅的だったんですねーーっ!」

「俺は大好きだーーーーっ!」

4

「毎月12日はパンの日ですっ」

「いらないっす」

「わたしのパンは……わたしのパンはっ……」

「ぐあ、早苗さん!? しまったあーっ!」

「やっぱりパンの日にも売れ残ってしまうんですねーーっ!」

「お、俺がそのパンぜんぶ買いますからーーーーっ!」

「毎度ありぃ!」

5

「毎月12日はパンの日だ」

「ひゃっほぅーっ、早苗さんのパン最高!」

「なにぃ! 早苗のパンツ最高だとぉ!」

「あんたかよ! てかパンツじゃねぇよ!」

「朋也くんは……朋也くんはっ……お母さんのパンツが好きなんですねーーっ!」

「俺は渚のパンツが大好きだぞーーっ!」

6

「毎月12日はパンの日だ。パンツの日じゃねぇぞ」

「わかってるよ……」

「だが今月の新商品はパンツパンだ」

「マジいらねっす」

「てめぇがパンツ言い出したんだろ責任取りやがれ!」

「パンツ言い出したのあんただよ!」

「大声で変なこと言わないでくださいねー」

変なパン作った人に言われた!

7

「毎月12日はパンの日だ」

「内容はともかく新商品を毎回作ってるのはすごいな、早苗さんは」

「早苗のアイデアは無限大だからな。古河早苗エターナルだ」

「そのアイデアが問題なんだが」

「つーわけで今回の新商品、わんこそばパンだ。おかわりがエターナルに続くぞ」

「一個もいらないっす」

8

「毎月12日はパンの日だ」

「いらないっす」

「てめぇ毎回同じこと言いやがって。ちったぁ盛り上げようとしやがれ!」

「盛り上げろったって、どうすりゃいいんだよ……」

「早苗の新作パンを食え。食欲・芸術・スポーツ・読書……秋の要素がすべて詰まったオータムパンだ」

「マジやべぇッス!」

9

「毎月12日はパンの日だ」

「よくもまぁ毎回飽きもせずに宣伝するもんすね」

「うまいもん作ってりゃ売れるなんて甘い考えじゃ、やっていけねぇからな。まず知ってもらわねぇと、いくらうまいもんでも売れねぇんだよ」

「うまいってことを前提に話進めてるけどさ……」

「やめろそれ以上言うな」

藤林姉妹関連
藤林姉妹生誕祭

「9月9日は世界占いの日です」

「いや、それより大切なことあるでしょ椋」

「一枚引いて下さい」

「仕方ないわねぇ……ってバースデイカード?」

「お姉ちゃん誕生日おめでとう」

「ありがとっ。考えることは一緒ね。はい、椋もおめでとう」

「あ、同じカード……ありがとう!」

椋アフター

「……」

「……」

椋と過ごす、心地良い沈黙の時間。

俺と椋が付き合い始めて間もない頃は、この沈黙を息苦しく感じていた。

それが今は正反対に感じるのだから不思議なものだ。

俺たちふたりの恋人としての距離が、一緒にいて落ち着くほどに近くなったことを嬉しく思った。

汐ちゃん成長期

「杏先生こんにちはっ」

「あら汐ちゃん久しぶり。大きくなったわねぇ」

「育ち盛りですから」

「随分日焼けしちゃって……夏休みは海に行ったのかしら」

「ううん、砂漠」

「砂漠!?」

「ピラミッドを見てきたの。ラクダさんにも乗せてもらった」

「お、大きくなったわね……」

その他
ことみと紳士

「誕生日おめでとう、ことみくん」

「……ありがとう」

まだぎこちない、ふたりの会話。

長い時間と距離を越えて届けられた贈り物を「ひとりは寂しいだろうから……」と胸に抱いていた彼女のために私がプレゼントしたのは、小熊のぬいぐるみ。家族になれるだろうか。

仁科りえとヴァイオリン

ケースを開くと、そこには色褪せたヴァイオリン。

この子は私のすべてであり私自身だった。以前のような音を奏でることは二度とできないけれど、新しく見つけた音楽の道を私はこの子と共に歩きたい。

力の入らない指先で弦を押さえ、構えた弓をゆっくりと引いた。

神様になった日

アニメ放送中に書いたネタなので、矛盾点やキャラ解釈の相違が出てくる可能性があります。

オーディンの日1

「毎週水曜はオーディンの日じゃ! 敬うがよいぞ」

「おでんの日?」

「オー!ディン!の日! おでんの日は2月22日と10月10日じゃ!」

「うわ、すごい」

「ふふん。全知の力、思い知ったか。さぁ存分に敬え」

「おぉ~よしよし、偉いねぇ」

「はっはっはっ……って敬ってねぇ! ペット扱い!」

オーディンの日2

「毎週水曜はオーディンの日じゃ!」

「えっ、本当に毎週やるの? これ」

「当たり前じゃ! 世界が終わるまでやる!」

「あと17日?」

「いや、あと9週」

「えぇ……。途中で世界終わってない?」

「なんなら終わってもやる。ヴァルハラから生中継でやる」

「むちゃくちゃ言ってるな、この子」

オーディンの日3

「毎週水曜はオーディンの日じゃ! WednesdayWodin es day と覚えればよいぞ」

「英語の授業みたいに言うのやめて」

「なぜじゃ?」

「はぁぁ……高3の夏にこんなことばかりやってていいのか僕は……」

「人生に無駄なことなどないから安心しろ」

「受験勉強は無駄って言ったのひなでしょ!」

オーディンの日4

「毎週水曜はオーディンの日じゃ!」

「確かに今日は水曜だけど、それでなぜ私?」

「パターン化を防ぐため、じゃな」

「オーディンの日ってどんな日なの?」

「自称オーディンのわしを敬う日じゃ!」

「おぉーよしよし、偉いねぇ」

「結局陽太と同じ反応じゃねーか! おまえら早よくっつけ!」

オーディンの日5

「毎週水曜はオーディンの日じゃ! さて名前を決めねばの」

「ああ、その金魚?」

「うむ。デフォルトネームは?」

「いや、ゲームじゃないんだから」

「では……斉藤」

「人の名前だよね」

「フィッシュ斉藤」

「一気に魚っぽくはなったけど……」

「ゴールデンフィッシュ斉藤」

「長いよっ!」

オーディンの日6

「毎週水曜はオーディンの日なんだってさ」

「それと博士がどう関係する」

「いや別に。ただ、オーディンを主神とする北欧に伝わるクラーケンっていう怪物がいてね。これがまた怪獣映画に出てくるくらいに大きいタコみたいな生物なんだ」

「要するにたこ焼きが食べたいんだな?」

「ご明察♪」

オーディンの日7

「毎週水曜はオーディンの日じゃ! 名古屋撃ちとは、限界寸前まで接近したインベーダーの攻撃が当たらないバグを利用した攻略法じゃ」

「教える必要ないじゃん!」

「やり方がわかっても、できんもんはできん」

「言うは易く行うは難し、だね。これも経験だよ」

「うぬぬ、綺麗にまとめおって」

オーディンの日8

「毎週水曜はオーディンの日じゃ。あと9週で世界は終わると言ったな、あれは勘違いじゃ」

「な、なんだってー!」

「終わりはいつだって唐突じゃ……」

「下痢もいつだって唐突だ」

「んなこと言っとらんわっ! と、こんなやり取りも懐かしいの」

「ひな……」

(恋も、いつだって唐突じゃった……)

オーディンの日9

「今日は水曜ですよね、成神先輩」

「え? あぁ……そういえば」

『毎週水曜はオーディンの日じゃ!』

何度も聞いたその言葉が、その声が、おぼろげになっていく。

「ひな……」

「知ってます? 毎週水曜はオーディンの日なんですよ」

「……」

「先輩?」

「……」

「ダメだ。ぜんぜん聞いてない」

オーディンの日10

ここに来て数日。

今日は水曜。オーディンの日だ。

神様なんていなかったし、世界の終わりなんてなかった。

でも、あの夏の思い出だけはあったはずだ。

たとえ反応が機械的なものだったとしても、今のひなには記憶がなかったとしても、ただひなの元気な姿を取り戻すために頑張るしかなかった。

オーディンの日ラグナロク

金魚鉢にはゴールデンフィッシュ斉藤2世が悠然と泳いでいる。

彼女が僕を選び、僕が彼女と共に歩む道を選んだあの日から、いくつオーディンの日を積み重ねてきただろう。

迷い、悩み、打ちのめされ、そのたびに彼女との夏の思い出に支えられてきた。

「ひな。今日は水曜、オーディンの日だよ」

Kanon

冬はアイスクリーム

「やっぱり冬はアイスクリームのバニラですよね」

「まぁ、アイスの新商品は冬に出ることも多いしな」

「新発売のアイス……わくわくします」

「そう言うと思って、新商品を買ってきたぞ」

「わっ、ありがとうございます」

「激辛麻婆アイスだ」

「もうっ、そんなことする人、大っ嫌いですっ」

リトルバスターズ!

リトルバスターズ!制作

「ゲームを作ろう。ゲーム名は……リトルバスターズ!だ」

「作れるの?」

「いや、俺は企画担当だ」

「じゃあオレは筋肉担当だな」「ロゴは俺に任せろ」「猫で」

「お菓子?」「遊び!」「資料提供」「QC」「わふーっ!?」

「残りは任せたぞ、理樹」

「えー」

リトルバスターズ!制作スタッフ

企画 棗恭介

筋肉 井ノ原真人

ロゴデザイン 宮沢謙吾

猫(キーボードを占拠) 棗鈴

お菓子(シナリオ補佐も) 神北小毬

遊び(コンセントに足引っかける) 三枝葉留佳

資料提供(主に薄い本) 西園美魚

QC(主に人間観察) 来ヶ谷唯湖

わふー(右往左往) 能美クドリャフカ

ほかぜんぶ 直枝理樹

薄い本

「直枝さんは薄い本と厚い本、どちらが好みですか?」

「うーん、そうだなあ……どちらかというと薄い本かな」

「なるほど。つまり、今のままのわたしでいいのですね」

「え、どういうこと?」

厚い本

「直枝さんは薄い本と厚い本、どちらが好みですか?」

「そうだなあ……どちらかというと厚い本かな」

「うっ……。それはつまり……もっと牛乳を飲め、ということですね」

「一体なんの話!?」

「自己の限界を超えた挑戦なので……直枝さんが揉、も、も、モンテスキュー」

「?」

薄い本と厚い本

「直枝さんは薄い本と厚い本、どちらが好みですか?」

「どちらと訊かれても……やっぱり内容が大事じゃないかな。美魚に借りて読んだ本は、どれも良かったよ」

「な、なるほど……。つまり外見に関係なくわたしが良いと……」

「ど、どうしたの? なんだか顔がにやけてるけど」

恭介の就活

「起業しよう。会社名は……リトルバスターズだ」

「あほだな」

「きっと就活で疲れてるんだよ。僕らに手伝えることがあったら言ってね、恭介」

「理樹……おまえん家に永久就職させてくれ」

「えっ?」

「きしょいこと言うなっ」

「ああ、悪い。そこは鈴の席だったか」

「ち、違うわぼけっ!」