第17回「夏時間」
2009年2月12日放送。ストーリーを追いながら感想や予想などを箇条書きにしています。登場人物、使用曲、攻略チャートもデータとしてまとめました。
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- ただ、惰性のように生きていた。
起きて、仕事にでかけて、食べて、寝て……
体が覚えていることを、繰り返すだけ。
そんな日々に生きていた。 - 体を痛めつけるように働き続けた。何もかも忘れたくて、すべてを顧みずに仕事をし続けた。
- 仕事が終わった後や休みの日は苦痛だった。ただ暇を潰すために金を使った。現実を見つめれば、足元から崩れ落ちていきそうになる。
- この町は嫌いだ。けれど町を出て、どこで何をするというあてもない。何も考えないで生きていた。
「この町は嫌いだ」というフレーズをここで使ったのはいい感じだけど、この町を出ない理由が変えられているのが少し気になった。
この辛さを忘れるには、早苗さんやオッサンから逃げるべきだと思った。
でも、俺にはそれができなかった。
あんな素敵な人たちを裏切るわけにはいかない。
だから、ずっと辛さを抱えたままでいた。
それに辛いのは俺だけじゃない。早苗さんやオッサンも同じなはずだった。 - ポストから溢れた郵便物が散らばったドアの前。そして、破かれた表札。ドアを開いても、中にあるのは散らかったキッチンと、溜まったゴミ袋。そこには何の温かみもなかった。
これは、直幸のいる実家の描写、そして第11回で渚の言ったアニメオリジナルセリフ、「わたしが帰った後は、朋也くん、あの部屋でひとりぼっちになります。わたし、それを考えると時々泣きそうになってしまいます」に繋がっているような描写で、すごくいい! - 何も考えたくなかった。何もかも忘れていたかった。すべてが間違いだったと……。俺があいつに出会ったこと……付き合い、結婚したこと……そして子供をつくったこと……そのすべてが、間違いだったと。
このモノローグで、原作とは朋也の考えがだいぶ違う印象を受けた。「呼ばない」を選択したことで、すべてをなかったことにしようとしているようだ。 - 五年という、長い、長い空白の年月が一瞬で過ぎていった……。
やさぐれた朋也をしっかりと描写してくれて満足だ。ずっとモノクロでいい感じ。今回の『時を刻む唄』は一層重く感じるぜ。
- ただ、惰性のように生きていた。
- 幻想世界 X
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- あら? 前回の予想に反して、いきなりの幻想世界だ。現在の状況と合わないタイミングだなー。ここのところ、幻想世界をぶつ切りにしすぎな気がする。
- 心から願うことで、ガラクタが形になっていくんだとしたら……僕ひとりじゃ無理なんだ……。
そんなことはわかっていた。
なぜなら……なぜなら、僕は……人じゃなかったから。 - ……泣いて……いるの?
少女がガラクタ人形の背中を抱く……って、まだ泣いてねええええぇぇっ! ぎぎぎ。がまさかの完全カット!? 瓦礫をすり合わせたような悲鳴の咆哮をあげるガラクタ人形がっ! 幻想世界で一番印象に残っているフレーズなだけに、期待してたのになー。くそぅ。 - ……わたしが動けなくなったら、こんどは、きみがひとりぼっちになっちゃうよね……。
このオリジナルセリフはっ! 前述の渚のセリフ、「わたしが帰った後は、朋也くん、あの部屋でひとりぼっちになります。わたし、それを考えると時々泣きそうになってしまいます」を明らかに示唆しているセリフだ。これはすごくいい! - 現実世界の朋也のモノローグ「何も考えないで生きていた」の時に画面が下へスクロールして遠い風景を映すのとは逆に、幻想世界の画面が上へスクロールして遠い風景を映す。ここら辺も対比しているように感じる。深読みしすぎかな……。今回の幻想世界は、ひとりぼっちの朋也との対比で入れたのだと私的解釈しました。
- 汐
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- セミの鳴き声で、今が夏であることを示す。ただ、五年もの年月が過ぎたことはすぐに伝わってこないな。アニメでは汐登場のインパクトを重視したのだと思うけど、ここは"時の流れ"を感じさせる象徴である汐の成長を見せてほしかったなぁ。
一年が過ぎ……二年が過ぎ……
もうあの日からどれだけ月日が経ったとか……
そういうことも考えられないぐらいに、がむしゃらに生きた。
でも、ただひとつだけ、俺に時間の流れを突きつける存在があった。
汐だった。
汐だけは変わり続けていく。
会うたびに大きくなり、顔つきをはっきりとさせていく。 - 来訪者は早苗さん。五年経っても外見はまったく変わらない。これが余計に時の流れを感じさせないんだよなぁ。早苗さんの若さは神秘的だ。朋也もやさぐれて疲れた感じはするけど、老けたようにはあまり見えない。
- 朋也の視線が早苗さんの足元をさまよっていく。これは汐の描写をまったくしてないから弱いなぁ。我が子とまったく向き合っていないことを重視したのだろう。
- 早苗さんと一緒に町を歩く。駅前は随分と様変わりしていた。楽市通りも映してほしかったぜ。
- 『Ernesto Host』にて。早苗さんのオーダーは、ストロベリーパフェと日本茶。朋也はケーキセットとアイスコーヒー。ケーキセットと日本茶は見当たらないな。
- ここでも早苗さんは原作と違って「汐」の名を出さない。目の前を子供が通って、汐の存在を示唆するだけだ。演出としては一貫されていていい感じ。
- 親子の絆を取り戻すシーンで必要だと思われる描写がカット。そこをどう変えるかがポイントだね。
「俺は子育てとか、そういうこと放棄して……ぜんぶ早苗さんやオッサンに押しつけちゃって……そんな夏休みの思い出に入る資格なんてないっすよ……」
「資格じゃないです。義務ですよ、親としての」
そう言われてしまうと、俺はただ情けなく顔を伏せることしかできなかった。
「……それに、あいつだって、俺なんていないほうがいいんですよ」
「……俺なんかに懐いてないっすから」
どうにか、そう呟いてみせた。
「いえ、汐は、ずっと寂しがっているんですよ」
「ずっと、お父さんがそばにいなくて」 - 旅行に出かけることを渋って、決断を後回しにする朋也。帰宅した途端、早苗さんが電話で何度も催促する。結局、押しきられるようにして、朋也は苦しげに承諾したのだった。町を出ない理由である早苗さんに対するフォローもここで描写。
- そして旅行初日。古河家を訪れた朋也。玄関にはバットが立てかけてある。
- テーブルの上に目立つように書き置きが残されていた。早苗さんに完璧ハメられた朋也。
- 人の気配がして、振り返る。
人影を追ううち、ひとつのドアに目がいく。
胸が痛む。
何も思い出したくなかった。
後々の描写も合わせて「親子の距離感」を示してるように感じたのだけど、家の中を探し回る描写はあんまり意味がないように思えた。 - 「汐」
その名を呼ぶ。
すると、ドアの向こう、隠れるようにして、こっちを見ている小さな子供がいた。
親子の対面に、光が差す……。 - 娘との会話でも、ずっと不機嫌そうな顔を崩さない朋也。会話とすら呼べないかもしれない。
- 居間には、汐のものであろうおもちゃ箱やオオアリクイのぬいぐるみが。前期の第12回でクレーンゲームの景品にあったのとは色が違うような気がする。
- タバコを吸う朋也を隠れて覗き見る汐。
- 「隠れてるつもりか。丸見えだぞ」
風子直伝隠密の術が見破られました!(>ヮ<) これは原作で4月18日「逃がす」を選んだ描写を見ていれば、この先風子が出た時に感慨あるセリフだが、アニメでは残念ながらカットされた。うちの攻略ページでほぼぜんぶ「逃がす」を選ぶようにしてるのは、少しでも印象に残るように意図してのことだったりします。既読スキップすると思うけど。 - 「……りょこう」
体ごと左右に揺れて可愛い催促。な、なんだこれはっ! 可愛すぎる……。なでなでしたい。 - 「男の子みたいな奴だな……」
ぱたぱたと走っていく汐。間違いなくアッキーの影響です。 - どすん、と何かが落ちる音がした。見ると、土間に汐が倒れていた。
すごい豪快な倒れ方だ。可愛い。 - 「……ぐす」
汐は黙ったままで、泣くのを我慢しているようだった。
汐の中に渚を見てしまう描写はカットされたが、原作以上に汐が渚そっくりなので無理に描写しなくてもいいかも。 - 「……カメさん、かわいそう……」
壊れたカメのおもちゃを拾い上げる汐。"もの"に感情移入すること……重要な描写だ。今回は嬉しいアニメオリジナルセリフが多くて、私も見てて嬉しいっ。 - 接着剤でカメのおもちゃを直して、横になる朋也。このタイミングで幻想世界に入っても良かったかも。少女がガラクタを組み合わせて何かを創ることができることに関連した描写だし。
- 「……うごかなくなっちゃった」
接着剤が乾く前におもちゃを動かして固まってしまう。汐のアホな子描写。例によって朋也は「アホな子だろ、おまえ」と言ってくれない。 - 朋也に捨てるか?と聞かれて、勢いよくカメのおもちゃを取り返して全力で首を横に振る汐。ここでも、"もの"を大切にする重要な描写。あとは獣たちが背を押す描写をしてくれれば……。
- 気づくと、もう時刻は2時。昼食のため、買い物に行く朋也。豚足はさすがになかったか。
- 店の前で磯貝さんと出くわす。その磯貝さんに言われて初めて気づく。いつの間にか朋也の後ろには汐がついてきていた。
- 「男手ひとつで小さい子を育てるって、大変ですものねぇ」
これは、前期の第19回にて乾先生にも言われたこと。あの時、朋也は何も知らない子供だった。だが、今は……。 - 「やっぱり会えないと寂しいでしょうからねぇ。なんて言ったって、親子なんですもんね」
おおっ、磯貝さん超重要セリフ! 親子の絆を取り戻すシーンで必要だと思われる描写はこれだ! - 磯貝さんをふたり並んでぼんやりと見送る。じっと朋也を見上げる汐。
- 朋也特製焼きめしLV2。調理する間も汐はずっとそばにいた。最初と比べ、汐の朋也に対する距離が縮んできているのがよくわかる。朋也のほうは変わっていないが。コショウでくしゃみする汐が可愛い。
- 「……にがい」
今までもそうだけど、汐の一挙手一投足が子供らしさを感じさせてすごく細かい。 - 「ああ、このコショウか。悪いがこれがないと焼きめしにならないんだ。我慢して食え」
んなこたぁねぇよ! とまぁ、どうでもいいことはさておき、これは渚が模試を受けた日、遊びに来た秋生とのやり取りがあって、現在こうなっている、という朋也の変化を示しているのだが、アニメではカットされた。まぁ網羅するのは無理なので、違和感さえなければ別に問題ないや。 - 茶碗にご飯だけを盛って汐に出す。アッキーの茶碗だよ、それ。
- 「……えい」
汐は二品を見比べて、朋也の焼きめしを遠くに押す。子供の力じゃ大して動いてないな。 - たこふりかけをご飯にふりかけて食べ始める汐。ふたりとも右利きだな。
- 時刻は9時。汐はもう寝入っている。早苗と秋生は、まだ帰ってこなかった。
- 翌朝。店のシャッターを開けて、朝日を仰ぐ朋也。うーん、とひとつ伸びをする。
- 人の気配がして隣を見下ろすと、いつの間に起き出してきたのか、汐がいた。
- 「……ひとりでできた」
このポイントは二回とも完全再現。これは三回目が効くぞ~。ジョウロで水をやる朋也には違和感があったけど。 - 目の前を親子連れの家族が通り過ぎていく。
大きな鞄を持っていた。
田舎に帰るのだろうか。それとも、旅行だろうか。
「…………」
汐の顔を見る。
楽しそうに笑う子供の横顔を目で追っていた。
可哀想なぐらい、寂しそうな顔で。 - 「じゃ、行くか、ふたりで」
「……うんっ」
朋也の決断に、汐は少しだけ笑った。 - 「じゃ、しゅっぱーつ」
「……おー」
手をあげて、汐がかけ声をあげた。
それを合図に、ふたりは歩き始めた。
俺たちは、どこへ行こうとしているんだろう……。
- セミの鳴き声で、今が夏であることを示す。ただ、五年もの年月が過ぎたことはすぐに伝わってこないな。アニメでは汐登場のインパクトを重視したのだと思うけど、ここは"時の流れ"を感じさせる象徴である汐の成長を見せてほしかったなぁ。
- 総括
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ついに汐ちゃん登場です。惰性のように生きる朋也の描写もばっちりしてくれて大満足。ぎぎぎ。がカットされた以外は。ぎぎぎ。がなかったのは個人的にショックでかいな。
最後、エンディングのスキップへと繋げたのに痺れた。最終回では追加された風子と一緒に、朋也と渚の前をスキップしてほしいぜ。
りえちゃんに和んでまた次回!
次回、大地の果てで朋也を待つものは……。予告でもやさぐれ朋也ポイントがしっかりあって嬉しい。大きな流れは言うまでもないので、「……ぜんぶ」と「こまだ」に期待しよう。「……ぜんぶ」を描写してくれたら、『光見守る坂道で』汐編「町の思い」を期待しちゃうよっ!
第17回データ
- 登場人物
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- 岡崎朋也
- 岡崎汐
- 古河早苗
- 芳野祐介
- 幻想世界の少女
- 幻想世界のガラクタ人形
- 磯貝
- 親方
- 使用曲
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- 町,時の流れ,人
- 時を刻む唄 -TV Animation Ver.-
- 汐
- 幻想 II
- 夏時間
- 一万の軌跡(原曲:町,時の流れ,人) 「クラナドイメージボーカルアルバム ソララド」収録
- 東風
- 東風 -piano-
- 田舎小径
- 東風 -afternoon-
- 日々の遑
- 空に光る
- TORCH -TV Animation Ver.-
- 時を刻む唄 -off Vocal Ver.-
日付 | 選択肢 | 備考 |
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幻想世界 X | ||
汐 |