◎第19回「家路」
2009年2月26日放送。ストーリーを追いながら感想や予想などを箇条書きにしています。登場人物、使用曲、攻略チャートもデータとしてまとめました。
- 汐
-
- 「ただいまーっ」
朋也と汐、手を繋いで古河家に帰宅。声を揃えて帰宅の挨拶。「家路」にふさわしいスタートです。初っ端から『Ana(full ver.)』ですよっ。智代編で流れちゃってるのが残念だが。 - 「旅行は楽しかったですか?」
そういうことをのうのうと訊けるところが、この人の美点なのだろうか……。 - 「早苗さん、今度、デートしてくださいね」
「はい?」
「だって、約束が違ったじゃないですか。俺、早苗さんと旅行するの楽しみにしてたのに」
「てめぇ、人の嫁口説いてんじゃねぇよ」
アッキー、自然に登場。原作通りオーバーリアクションな登場をすると思ってただけに、なんか新鮮。 - 汐が朋也を見上げる。朋也は汐に向けて、自然に笑顔を浮かべていた。朋也は数年の時を経て、ようやく心から笑うことができた。
- 汐とふたり、渚の遺影に手を合わせる。
そして朋也は勇気を持って、渚の部屋に立っていた。整頓はされているが、あの頃のままだった。
だんごのぬいぐるみを抱え上げ、顔を埋める。
この匂いは渚の匂いだろうか……。遠いあの日の、渚の匂いだろうか……。
目を閉じれば、帰れる気がした。いつも隣に渚が居てくれた頃に。
あーあ、なんで前回この部屋を思い浮かべちゃったんだよ……。渚の匂いと共にこの部屋での渚の思い出がよみがえるのは良いね。芽衣ちゃんも回想に一瞬出演。渚の匂い……というのは以前も描写された重要ポイントなんだけど、肝心の獣三匹の描写が弱すぎるからな~。 - でも、そんな夢、もう見たくなかった。汐が置いてきぼりになる。
現実をしっかり見据えていかなければ……。
だから目を見開いたままで……進み出した時間を痛みのように感じていた。
このモノローグはカットされたけど、これってトゥルーエンドと矛盾しているように感じるんだよね。汐エンドは幻想世界のために無理矢理繋げた感が拭えない。世界が終わり、凍りついた汐シナリオ……。トゥルーエンドを迎え、再び動き出したその世界が見たいっ! - 「朋也さん」
声がして、ようやく俺は痛みから解放された。
「そのぬいぐるみ、持っていきますか? 汐もそれが大好きですから」
思い出が、思い出であるように。 - 「すみませんでした、長い間……」
「汐を……ずっと押しつけたままにして……」
「俺が父親として、自覚を持てるようになったのも……結局、早苗さんのおかげです……」
「わたしは、何もしていませんよ」
「あいつ……本当に、いい子に育ってました……」
「なんてお礼を言ったらいいか……」 - 「よぅし、次は江川の物まねだぞっ」
「えがわー」
部屋の外から秋生と汐の話し声が聞こえる。「井川」にも聞こえるけど……どっちだ? 物まねしやすいのは……スグルのほうかな。 - 「でもこれからは、ちゃんと俺の手で育てます。渚のように思いやりがあって、そして、強い子になるように」
「秋生さんとわたしが渚のために仕事を変えたのも、渚が5つの時だったんです」
「頑張ってくださいね」
これはいい感じのオリジナル補完。 - 「俺、一生かけて恩返ししますから」
「なら、幸せになってくださいね」
ああ……早苗さんは、いつだってそう。
いつだって家族の幸せを思い、そして家族の幸せと共に幸せになれる人だった。
この家族はみんなそうだ。オッサンだって同じことを言ってくれるだろう。
もし渚が生きていたとしたら……やはり同じことを。
俺も仲間に入れるだろうか。人を幸せにして、共に幸せになる家族の仲間に。
今日からはなれるだろうか。幸せにしたい小さな家族と共に。 - 「幸せになります。汐と一緒に……」
「はいっ」
頭を下げ、そう誓う朋也。 - 「けっ、死んだ魚みたいな目ぇしてた奴が復活してるじゃねぇかよ」
数年ぶりの秋生との野球対決。応援する早苗と汐の構図も似ていて、いい感じだ。このセリフは、渚が模試を受けた日の秋生のセリフと繋がってるけどカットされた。
「何死んだ魚が豆鉄砲食らったような顔してんだよ」
「たぶんそれ、表情ひとつ変わらないかと」
「何おっかなびっくりした顔してんだ、って意味だよっ、通じねぇ奴だなっ」 - 「汐はどっちが勝つと思う?」
「……あっきー」
「マジっすかっ!」
「ふんっ、あいつは俺の剛腕を見て育ったんだぜ」 - 「くっ、なら……俺はそれを打つ!」
カィーーーーーーーンッ!
快音を残して、白球は空に消えた。 - 「なっ……アホなっ」
「見たかっ、汐っ!」
……パリーーン。
アホは俺だった。
パパのかっこいい姿に興奮する汐が可愛い。ここはアッキーの特大ホームランと、渚と結婚するための野球勝負、その両方ともしっかり描写されていたので感慨深い。 - その日は古河家に泊まった。
食卓をみんなで囲んで……俺とオッサンは酒を飲んで……
楽しい夜だった。 - サブタイトル。木の下には……光が13個。時を刻む12の数を越えて……ついに光が揃った! 共鳴までのカウントダウン開始!
- 夜……。
旅の疲れもあって、居間で寝てしまっていた朋也と汐。
話し声が聞こえて、朋也は目が覚ます。声の主は……秋生と早苗だった。 - 「早苗よ……おまえも人のことは言えねぇだろ……。あの日から泣いてねぇ……」
「よく、知ってますね」
「あたりまえだろ……俺様を誰だと思ってんだ……」
「わたしは……やることがありましたから……。汐を育てなければなりませんでしたから」
「だから、よかったです……。自分を見失わないですみました……」
「五年か……汐のおかげで、ずいぶん救われたよな……俺たち」
「ええ……本当に……」
「でも……それも終わっちまったな……」
「はい……」
「長い間……ご苦労さんだったな……」
「いえ……わたしたちは……家族ですから」
「もう……いいんだよ……」
「おまえはよくやった。今度はおまえが泣く番だ」
「どうしようもなくなっても……俺が助ける。おまえが泣きやむまで、そばにいてやる」
「だから、もういいんだ……」
「…………」
その日初めて、俺は早苗さんの弱さを知った。
子供のように泣く早苗さん……。そして、それを何も言わず見守るオッサン……
そのふたりに俺は、一生の家族でいることを誓った。
最後のモノローグがなかったので、頭を下げる朋也が何を思うかがわかりにくいかも。まぁ、ここを描写してくれるだけで満足。それに「もう……いいんだよ……」という秋生のセリフが、朋也と直幸のセリフに掛かっている感じがして面白い。 - 翌日。
古河家から幼稚園へ向かう汐。そして朋也は保護者として初めて幼稚園へ向かう。
「いってきまーす」
「おぅ、いって、かましてこいっ」
「うんっ」
(おまえには通じるのかっ)
アニメでこういう細かい描写をしてくれるとは思わなかったので嬉しい。前期第19回からの繋がりをアニメオリジナル描写でっ! - 園長先生との挨拶もつつがなく終え、汐に見送られて朋也も仕事に向かう。
その途中、何やらひそひそと朋也を噂する母親たちの声が聞こえてきた。 - 朋也は敢えて、母親の集まりに寄っていく。
「あの……岡崎と申します。岡崎汐の父親です」
「どうかよろしくお願いします」
母親たちは少し引きつった笑顔を浮かべつつも、いくつか声が返ってきた。
何を言われようが俺は気にしない。今まで父親の役目を放棄していたのは本当のことだったから。
なら、後ろなど見ず……前を見ていよう。
これからはいい父親で居続けられるよう、頑張るだけだった。 - 「そうか……一緒に暮らすことになったのか」
「はい。長い間、ご心配をおかけしましたけど」
芳野さんにも事情を話す。「困ったことがあればいつでも言え」と、いつものようにぶっきらぼうな顔で芳野さんは言った。これはっ、はしゃぎシーンでのギャップを示すためかっ……と思ったらカットされたっぽい。 - 汐との生活。きっと予想以上に大変だろう。
でも、一番大変な時期は早苗さんが面倒を見てくれた。これから迎えるどんな苦労だって、早苗さんの苦労の比じゃないんだ。
それを考えると、どんな困難にだって立ち向かっていける気がした。
それに苦労もあるだろうけど、楽しいこともそれ以上にたくさんあるはずだった。
家族で暮らすということは、そういうことだ。
俺はあの日、渚とふたりで暮らし始めて……そのことを誰よりも経験した人間のはずだった。 - 職場の許可を得て、朋也は一時仕事を抜けて幼稚園に汐を迎えに行く。
汐のクラス担当の先生は、保育士の研修会に出ていて休みらしい。あんまり詳しくないけど、幼稚園の先生は保育士免許を持ってると有利みたいだね。 - 「おまえの先生って、どんな人なんだ?」
「……かみがながくて、きれいでやさしい」
さて、髪が長くて綺麗で優しい、汐の先生とは……いったい誰でしょう?- 藤林杏
- 市井
- 一ノ瀬ことみ
- 伊吹風子
- 坂上智代
- 宮沢有紀寧
- 仁科りえ
- 髪を伸ばした藤林椋
- 髪を伸ばした柊勝平
- 幻想世界の少女
- 神尾晴子
- 沢渡真琴
- ほしのゆめみ
なーんて、今さら登場を引きつけても感慨はゼロのままだよ。正解が2番だったらひんしゅくものだろうし。ここで登場させて、次回はタイトル通りの風子オンリーでよかったんじゃあ……。 - 汐をアパートの部屋まで送って、再び仕事に戻る朋也。ぐっと両拳を握って朋也の言うことに頷く汐が可愛い。
- 「……いってらっしゃい、パパ」
汐に再び見送られて部屋を出る朋也。こっ、このセリフは!? 意図してやってるなら恐ろしいセリフだ。 - 朋也を見送った後、汐は「たんけん」を始めた。部屋、流し台、風呂、そしてベランダ……みずいろの空を見上げて目を輝かせる汐は、何を思うのか……。飛行機を見つめてるのなら『光見守る坂道で』汐編フラグと深読み可能だが……単に幻想世界の「空を飛ぶ乗り物」と繋がってるだけかも。
- 汐がクレヨンで絵を描いていると、チャイムが鳴り、朋也が帰宅した。汐の描いていた絵は……ってさっきの問題、正解は1番の藤林杏に決定しました! と、時間差正解発表~。アンパンマンにも見えるけど、間違いなく「なべ」だな。
- 朋也は手にいっぱいの荷物を持っていた。古河家から、渚の写真やだんご大家族のぬいぐるみ、汐のおもちゃなどを持ってきた。古河家は寂しくなるだろうな……。
- 渚の写真を置く。数日前まで何もなかったこの部屋に、家族が揃った。
- ふたり、手を繋いで買い物に出る。その帰り道、朋也の名を呼ぶ声が。公子さんだった。うおっ、前倒しの登場に不意をつかれた!
- 「ただいまーっ」
- 公子・風子
-
- 「こんにちは」
「はい、こんにちは」
笑顔で膝を折って、しゃがむ公子さん。
じっと汐の顔を見つめていた公子さんの顔が、一瞬泣きだしそうに震えた。でも、すぐに笑ってみせた。 - 「この子が渚ちゃんの……。面影がありますね」
「きっと、渚ちゃんみたいに、強くて、可愛らしい女性になるでしょうね」
「そうなってくれると、いいんですけど……」 - 「妹さんが退院されたそうですね。おめでとうございます」
月宮あゆ(Kanon)をも越える9年もの月日を経て……今、目を覚ます……眠れる海の美少女。その名は…… - 「ふぅちゃーーんっ」
さぁ、皆さんお待ちかねーっ! 砂場で星形(実はヒトデです)の山を作っているのは……自称「近所でも、あの子はとても器用だとよく言われてます」……伊吹ぃぃふうぅぅぅぅこッ! - 芳野さんがはしゃぐシーン完全カットで涙目。芳野さんと風子が何をして遊んでいるかは自分の中でいろいろと案があって、どうなるか楽しみだったのになぁ。
- 不思議そうな顔で見上げる公子さんの妹。それを複雑な表情で見返す朋也。
「この子が、妹さん?」
その頭に手を置く。それは朋也にとって無意識の愛情表現。 - ばっ。
思いきり手ではね除けられる。
もう一度、ひょいと手を載せる。
ばっ。
またはね除けられる。
ひょい、ばっ、ひょい、ばっ、ひょい、ばっ……
「わーっ」
公園の隅まで走っていく。
「ふーっ……!」
遠くから威嚇されている……。
なぜか不思議と懐かしい感覚……。
(おまえはプルバックゼンマイ式のおもちゃか……)のポイントはカットされたので、あまり感慨はない。ただ、これはアニメの利点だね。風子が動いているだけで感慨がある。 - 「はじめまして」
ぎこちなく挨拶する風子と朋也、そして汐。汐の顔をじっと見つめていた風子は……
「んーっ、可愛いですっ。抱きしめていいですかっ」
朋也の返事も聞かず、汐に抱きついて……トリップした。 - 「すみません。こういう子なので……」
さすが公子さん。すげぇ説明の仕方。実の姉にして「とらえどころがない」と言わしめた風子を的確に表現している。 - 「おいくつなんですか?」
「岡崎さんと、同い年です」
伊吹風子、25歳。時を越えた女。 - 「もうっ、おねぇちゃんも岡崎さんも、とても失礼ですっ」
「怒ったので、この子は風子の妹にしますっ」
「わけのわからないこと言わないの」
「どさくさに紛れてもダメですかっ」
「ダメ」
抱きついたまま汐を連れ去ろうとする風子。久しぶりの登場だからか、やけにテンション高いな。
- 「こんにちは」
- 汐
-
- 「ちょっと変わってるけど、新しい友達ができてよかったな」
「うん」
帰宅後、ふたりでカレーを食べる。ほっぺについたご飯粒を取ってやる朋也がいいね。 - 十時になると、消灯。
汐はだんごのぬいぐるみを抱いて、布団に潜り込む。 - 「……さなえさんがいってた。これが、ママのにおいだって……」
渚の匂いに抱かれて、汐は眠りについた。 - 最後の幻想世界に必要っぽい描写が飛ばされたようだが……次回描写するのかな?
「ママのうた、うたって」
汐にとっては、かつての流行歌が母親の歌だった。
初めて歌って聞かせた時も、汐は懐かしさを感じて、目の端に涙を滲ませた。
覚えているのだろうか。自分のために母親が歌っていた歌を。
なら、よかった。
それは母親と過ごした記憶になるから。家族三人で過ごしていた日々の記憶になるから。
「……渚」
「時間かかっちまったけどさ……」
「やっと家族になれたよ、俺……」
「人を幸せにして、自分も幸せになる家族の仲間に……」
- 「ちょっと変わってるけど、新しい友達ができてよかったな」
- 直幸
-
- 休暇をもらい、汐と共に実家へ向かう。
- 実家の前に立つ。ここだけは、何も変わっていないように見えた。周りに立ち並ぶ家も5年前のままだった。
- 7年前の朝……
さようならと告げて、この家を後にした俺が……逃げ出した俺が……
ようやく帰宅を果たした。
7年という月日。
長い、長い家出だった。
このモノローグをカットしてしまっては、渚と実家に行く描写をカットした意味がまったくなかった! それに原作と違い汐と一緒ならなおのこと、渚と実家に行っていれば感慨があったはずだ。これは残念すぎる。 - 「ただいま」
家に上がると、ラジオの声が聞こえる。
親父は居間で背を丸めて座り込んでいた。 - 「ああ……朋也くん……」
ラジオの電源を切ると、親父はようやく朋也に気づいて振り返る。
久々に見る父の顔は、記憶のものより十歳ぐらい老けて見えた。 - 親父と共にあった日々が、朋也の記憶の中で交錯する。
7年という長い、長い家出を終えた朋也は、その思いを一言に込めた。
「ただいま」 - 直幸が汐の存在に気づく。そして、初めての挨拶を交わした。
- 「あんたの母親と会ってきた」
「へぇ……」
「こいつと旅行してな。ずっと北の……あんたが昔、俺を連れてってくれた所だ」
「うん……」
「いろんな話を聞いたよ」
「……大変だったんだな、って思った」
「俺もいろいろ思い出した。昔のこと……」
この人は、ちゃんと俺の言うことを理解しているのだろうか……。
それでも俺は話し続けた。
それは約束だったからだ。
「俺もいろいろ思い出した。昔のこと……」というアニメオリジナルセリフがとても面白い! 原作の4月16日に「昔のこと…」という選択肢があるんだけど、それを選んだ際に語られる朋也のモノローグと繋がっているような感じになっている。でも、アニメにこの描写あったかな?
遠い昔は覚えていない……
近い昔は……思い出したくもなかった。
すべてが失望の色で染め抜かれる……。 - 「なぁ、親父……疲れたろ」
「……うん?」
「そろそろ休んでも、いいんじゃないか……」
「田舎に帰ったらどうだ……あんたの母さんが、待ってる」
「…………」
「あんたが俺の手を取って……自分で育てる、って誓ってくれた場所でさ……」
「ああ……」
親父の目が遠くを見た。
そこには、あの日の光景が映ってるのだろうか。
「あんた、もう十分頑張った……」
「だからさ、もう休めよ……」
「田舎に帰ってさ……母親と暮らしてやれよ……」
「…………」
贅沢言うと「ああ……」と直幸が上を向いた時、モノローグがないなら、あの光景がフラッシュバックしてほしかった。が、今回全体的に言えることだけど、直幸と朋也の表情と細かい動きがすごくいい! - 「もう……いいのだろうか……」
「何が……?」
「おれはやり終えたのだろうか……」
ぐはぁっ! このセリフだけで画面が見えん! アニメでも何度か直幸の一人称「私」が出たと思うけど、これはアニメのほうが印象に残りにくいから不利だね。文字になってるほうが気づきやすい。しかも「おれ」という特徴的な一人称なのが良い! これが「俺」だったらちょっと弱かったかも。智代アフターアフターで朋也の一人称が「おれ」になった時の驚愕は今も忘れられないぜ……。 - あの日の誓い。
……俺を自分ひとりの手で育てること。
そんなことを思い出しているのだ、この人は……。
本当にそのためだけの人生だったのだろうか……。
この人の人生は、俺のためだけにあった人生なのだろうか……。 - 「あんた……何もかも犠牲にして、俺をこうして育ててくれたんじゃないか……」
「俺みたいな出来の悪い息子のために、人生まるごと使ってくれたんだろ……」
「もう十分だよっ……」
「……そうか」
「……いつのまにか……やり終えていたのか……」
「……それは……よかった」
「よかった……」
また『願いが叶う場所 II』のタイミング合わせてきたぁ! たまらんっ! - その晩は三人で過ごした。
一緒に風呂にも入った。
ずっと大きく感じていた父親の背は……知らぬ間に小さくなっていた。
それをごしごしと洗った。無心で洗った。 - 翌朝。
三人一緒に家を出る。 - 父との別れ。
別れの挨拶をする汐。親父はその頭に手を載せる。 - 父を気遣う言葉をかけるたび、おぼろげに浮かんでくる……父との思い出。
「いつも寂しくさせて、ごめんな」
「帰ってきたら、夕飯、ちゃんと作るから」
「ふたりで食べような」
幼き日の朋也の頭に手を載せる若き日の直幸。朋也の癖である頭に手を載せる愛情表現は、父の温もりを無意識に思い起こしていたのか……と感じさせる。最高! - 「な……朋也」
そして朋也は鮮明に思い出す。確かにあった……父の温もりを、笑顔を。
ぼやけていた父との記憶が鮮明になって、現在の父の笑顔に重なる……もうダメだあっ! 親父の笑顔で泣けるなんて、そうはないぜっ! - 親父の穏やかな顔……。すべてをやり終えた顔……。
それを見ていると、ぽろぽろと涙が零れだした。
「はっ……あ……」
子供のようにしゃくり上げて泣いてしまう。 - 「どうした、朋也……。どうして、泣いてる……」
今は強い息子として見送ってあげなくてはならないのに。
これ以上、心配をかけないように……。
もう安心して休んでもらえるように……。
何もかもを俺のために犠牲にした日々が終えられるように……。
直幸が朋也の頭に手を載せようとすることでモノローグを補完しつつ、息子として……そしてこれからは父として、その分岐のように感じさせてくれて最高だ! そして、言うまでもなく呼称は「朋也くん」だったのが「朋也」に戻っている。スタッフの親父ポイントの力の入れように感激したっ! - ……ズボンの裾が引っ張られていた。
汐が掴んでいた。
そう……これからは俺が親父の立場なんだ。
もう……子供じゃないんだ。
涙を拭いて顔をあげ、そして言った。
「父さん……今日まで、ありがとう……」 - 「じゃあ、いくよ」
「ああ。元気で」
「朋也も、元気で……」
父さんが背を向けた。 - あの人は、幸せだったのだろうか……。
一番幸せな時に……愛する人を亡くして……
それからは……俺とふたりきりになって……
俺みたいな親不孝な息子のために頑張り続けて……
それで……幸せだったのだろうか……。
自問する朋也に答えるように、天から光が舞い降りる。 - 「光が……」
それに気づいて空を見上げる汐。光は朋也の中に吸い込まれていった。 - 自分を男手ひとつで育て上げた父の背を……朋也はずっと見送っていた。
汐と手を繋いで。
- 総括
-
親父ぃぃぃぃーーーーっ!
てなわけで、二週連続の盛り上がりポイント! 最高でした。
そしてもちろんっ、エンディングに直幸が追加! 予想通りの位置だ。不自然なスペースだったからねぇ。次回は順当に行けば風子が追加だが……最終回まで引きつけてくれたら感動する。とか言って、自分は我慢しきれず目次ページのぷちAAに追加してたり。
風子が前倒しで出てくるとは思わなかったのでびっくり。はしゃぐ芳野さんがカットされたのが非常に残念だ。
今回はたまたまヒグラシの声が耳に入ったけど、効果音はまともに聴いてなかったから結構聞き逃してそうだな~。
ところで「……ひとりでできた」の4回目はまだですかねぇ……。「……ひとりでできなかった」まで一度もなかったら、さすがにツッコむよ。
りえちゃんに和んでまた次回! 次回は岡崎家に一陣の風が吹く……! 風子ポイントはギャグっぽく見えても、どこかに繋がっている描写ばかりなので、なんとかノンカットでお願いしたいっ。
今回はいつも以上に長くなってしまった。ここまで読んでくれた方、ありがとうございました!
◎第19回データ
- 登場人物
-
- 岡崎朋也
- 岡崎汐
- 岡崎直幸
- 古河秋生
- 古河早苗
- 芳野祐介
- 芳野公子
- 伊吹風子
- 園長
- 声(母親たち)
- 古河渚
- 春原芽衣
- 使用曲
-
- Ana(full ver.)
- 時を刻む唄 -TV Animation Ver.-
- 汐
- 空に光る
- 汐 「CLANNAD remix album -memento-」収録
- 田舎小径
- セミの声(ヒグラシ) 「higurashi.wav」
- は~りぃすたーふぃっしゅ
- 町,時の流れ,人
- 願いが叶う場所 II
- TORCH -TV Animation Ver.-
- 時を刻む唄 -off Vocal Ver.-
日付 | 選択肢 | 備考 |
---|---|---|
汐 | ●「見に行く」 | |
公子・風子 | ●「公子の光」を手に入れた! ●「風子の光」を手に入れた! |
|
汐 | ||
直幸 | ●「直幸の光」を手に入れた! |