CLANNAD MEMORIES

CLANNAD10周年回顧録。「CLANNAD -クラナド-」発売から10年経った今、当時の思い出などを振り返ってみるコーナーです。毎回テーマを決めて、主にキャラクターについて語っていきたいと思います。筆者の自分語りも含まれますので、苦手な人はご注意ください。

第1回「町」

あなたは「CLANNAD」というタイトルからどんな言葉を連想しますか? 家族、人生など……人によって連想する言葉は違うと思いますが、私の連想する言葉が最初のテーマ「町」です。

本編で最初に自然や町についての話題が出た時は、(AIRの前例もあったからか)自然破壊がどうのこうのみたいな地球規模の壮大な話になるんじゃないかと危惧したんですが、CLANNADは最後まで小さな町の物語でした。町が、そして人が変わっていくこと、それを受け入れるか抗うか……そんな描写が印象深かった。『町,時の流れ,人』の曲もいいよね。

そんなCLANNAD初プレイから今日でもう10年。10年という月日の間に、町はめまぐるしく変わっていきます。都市部であれば特に、まったく変わらないなんてことはありえないほどでしょう。本編でも5年の間に駅前商店街の向こう側にビルが建つという描写が、背景CGも含めて存在します。背景CGのほうはそれ以前からこっそり変化してるけど、それは普段から背景に目を向けていないと気づきにくいかもしれない。

アニメではもっとわかりやすく朋也と渚のセリフや工事の描写などで町の変化が示唆されてたね。DVD初回限定版ジャケットの背景に町の様々な場所が描写されていたところも含めて、アニメのこういった点が個人的に好き。

ともあれ、そんな「町が変わっていくこと」についての描写は、私にとって深く印象に残るものでした。

本編に「別に動物や木や森を慈しんでいるわけじゃない。思い出の町が変わっていく。それだけが、なぜか許せないのだ」という朋也の独白があります。前述のように自然破壊関連のテーマを危惧していた私にとって、この独白は衝撃的でした。同時に、心に残るものでもありました。

久しぶりに小さい頃に歩いた通学路を通ってみると、見慣れた砂利道はアスファルトに覆われていた……そんな小さな変化も「長年歩いていた」という思い入れの深さが寂しさを募らせます。そんな寂しさと共に思い出すのが、CLANNADの"町"だったりします。

この町と、住人に幸あれ。そんな言葉通り、私が想像するCLANNAD 10years afterは幸せいっぱいです。本編で何度も地獄に叩き落とされた朋也たちなので、未来くらいは幸せにしてやりたい。そんな感じのショートSSをちょこちょこと書き上げつつ、微力ながらCLANNAD10周年を盛り上げていけたらいいな、と思います。今回のSSは「CLANNAD 10years after ~町~」だよ。

てなわけで、初回くらいは真面目に語ってみた。次回は来週更新予定。次のテーマはキャラクター、非攻略系立ち絵なしスーパーヒロインだッ! りえちゃ――もとい、非攻略系立ち絵なしスーパーヒロインに関して私と熱く語り合いたい人がもしいたら、メッセージを送ってくれると嬉しい!

第2回「仁科りえ」

第2回のテーマはキャラクター。にしなどでキャラクターといえば、もちろんこの人! 非攻略系立ち絵なしスーパーヒロイン、「仁科りえ」だッ!

にしなどといえば仁科りえ。そもそも「仁科りえ+CLANNAD=にしなど」だからね。公開前の仮サイト名は「仁科りえの蔵」でタイトルロゴも作ってたけど、今思えば短くてわかりやすい「にしなど」にしておいて良かった。

仁科りえファンサイトとして活動を始めてから今年でもう七年になるんだよな~。にしなどといえば仁科りえ、仁科りえといえばにしなど……なーんて、連想してもらえるようなサイトになれてたら嬉しいな。

それでは仁科りえについて当時の思い出を交えつつ語ってみよう。字ばっかり続くと疲れるので、ぷちAAをあしらってみた。

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   ノ ノj ゚ ヮ゚ノ) ~♪
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       し'ノ

さて、私はもともとサブキャラにも目が行くタイプではありましたが(極端な例を挙げると『Pia♥キャロットへようこそ!3の芝村秋子』、水着コンテストに出場している赤髪八重歯の女の子です。条件によっては優勝し、攻略ヒロインが優勝した場合も笑顔で拍手を送ってるところとか今見ても可愛い)、ここまで想像を掻き立てられるキャラクターは初めてでした。

渚シナリオで語られる過去による朋也や渚と近しい立ち位置、ことみシナリオでの縁の下の力持ちな役どころ、アフターストーリーでの渚と親しい友人としてのポジション、とどめとばかりに萌え要素なウェイトレス(「近い場所を歩くウェイトレスを見て、その制服の可愛さに目を奪われる」→「つーか、そいつは仁科だった」→秋生「おめぇ、別の女の子に見とれてんじゃねぇよ」の流れが最高すぎる)。立ち絵などなくとも十分に魅力的なキャラクターとして、とても印象に残りました。

そんなわけでCLANNADの好きなキャラといえば仁科りえが真っ先に挙がるようになった私ですが、当時は仁科りえの知名度が「低い」なんてレベルに達することもないほどに極めて低く、合唱部といえば悪い意味で「杉坂の脅迫状」が印象深くなってしまうため、仁科りえが好きと言っても賛同を得られることは少なかった。というか大抵は「誰?」が第一声。杉坂と仁科を混同して覚えている人も。

それまでは「自分は【キャラ名やゲーム名】が大好きだけど、他人がそれをどう思おうが(極端に言うと、けなしていようが)知ったことじゃない」というスタンスだった私ですが(このスタンスは基本的に今も変わらない)、ここに来て初めて「仁科りえが好きという気持ちを伝えたい」という能動的な意志が生まれました。そこで光坂テーマ募集への応募、葉鍵板&ギャルゲー最萌トーナメントへの参加を経て、仁科りえファンサイト設立を決意し、今に至るわけです。サイト設立当時と方向性が変わってる気がしないでもないですが。

次は、りえちゃんの拡大解釈について。

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     l イ|l ーヮノi| ~♪
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仁科りえセリフ集を見てもらえればわかるように、原作で仁科りえというキャラクターは立ち位置や境遇などの設定はヒロイン級ですが、キャラ付けとしては極めて無味乾燥なものです。そんな中から情報を見出し拡大解釈しているのが、にしなどにおける仁科りえです。なので、アニメ版のような普通の女の子っぽい仁科りえが好きな人には合わないだろうな、とは思ってます。普通の女の子っぽくてももちろん好きなんだけど、PC初回限定版クリア直後でビジュアル情報ゼロの頃に「普通とはいっても何かしらの個性が人にはあるはず!」とばかりに仁科りえ登場ポイントセーブデータを作成しながら妄想していたせいか、Keyキャラっぽくどこかヘン(個性的とも言う)な感じになっていきました。

そんな中、私的仁科りえのキャラを決定づけたのが「本当にこの学校の生徒でしょうか」という朋也(または春原)に対するセリフ。仁科りえネタ1などでも書いた天然ツッコミ属性です。CLANNADに登場する大半の女性陣が朋也に対してボケに回るため、杏とは違った方向で朋也と対等にボケツッコミができるような女の子だと妄想してます。でも今思い返すと、それってKanonの栞とキャラが被ってるような気がするんだよな~。

「仁科りえは普通の女の子っぽいから萌えるんじゃないか!」という意見にも賛同しつつ、自分で書く時はやっぱり拡大解釈したほうのキャラになります。SSによってボケツッコミの具合に波があるけど、それはもう書いてる時の気分だろうね。普通の女の子っぽい仁科りえのSSも書いてみたいとは思いますが、"普通"を書くのって難しそう。今回のSS「CLANNAD 10years after ~仁科~」は"普通"に近いと自分では思うんだけど、どうかな。

さて次回は来週に誕生日を迎えるあの人! SSのほうはメインどころかサブとしてすら書いたことがないから難航してるけど、果たして来週までに間に合うのか!?

第3回「一ノ瀬ことみ」

第3回もキャラクター、本日誕生日を迎えるスーパー受け身系ヒロイン、「一ノ瀬ことみ」ッ!

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      ,㏄´ ,_ `с.
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        ` く/_l〉
         し'ノ

ことみは積極性が低い受動的なヒロイン。幼い頃にああなっては仕方ないのかもしれませんが、リトバスの鈴と同じく極度の人見知りで社交性が皆無です。鈴にはリトルバスターズという拠り所がありましたが、ことみには幼い頃の友達である朋也くらいしかいませんでした。しかもその朋也はことみを忘れているという……これほど酷なことはないでしょう。

智代シナリオの朋也は結局何もしなかった、とよく言われますが、実はことみシナリオのことみも(前述の朋也ほどではないけど)能動的な行動はほとんどしてません。『ともだち』に支えられて最初の一歩を踏み出す、という点では渚と同じですが、支え合うほどの強さを持つには至りません。いわゆる守ってあげたいタイプ。でも知識は膨大で父と母を追い続けてきた孤独な強さは持っている、そんなチグハグさがポイントか。喋りや性格が幼いのに身体的には大人なところにもチグハグさが出てますね。

次はシナリオについて。ことみシナリオは意図的に入りにくくしたシナリオ。開発当初は椋に「謝っておく」を選んでもシナリオに入れたため、テストプレイで全員がことみシナリオに突入するという事態に。そこで急遽「ムシする」を必須選択肢にしたらしい。そのせいで椋がトランプを出した際、『お約束通り、床にぶちまけた』という矛盾テキストが発生しちゃってたり。

私の初プレイでは、ことみシナリオはすんなり入れました。自称不良の朋也になりきったつもりで椋に冷たくしていたのが幸いしたようです。渚、杏、椋と他のヒロインが最後まで関わってくる珍しいシナリオだったのが印象的でした。

あと、ことみは自分のシナリオ以外に一切登場しないのも深く印象に残っています。なんといっても、3on3やおまじない、偽彼女候補や草野球などでどうにか登場させられないものか、とクリア後に登場ポイントを探しまくったからです。ことみシナリオの完成が遅延したことにより未登場、という拍子抜けのオチでしたが。

今回のSSは「CLANNAD 10years after ~ことみ~」なの。さて次回は、攻略順について語ってみようかと。

第4回「攻略順」

第4回はシステム面(?)、ゲーム本編の「攻略順」について語ってみよう。

そういえばCLANNAD攻略ページに攻略順を書いてなかった。フレラバとかは自分がクリアした順を参考までに書いてるけど、CLANNADで自分がクリアした順を書いたりしたらものすごく非効率的だ。以下、その攻略順。自称不良の朋也になりきってプレイし、途中で最初からやり直し(そのまま進めてたら有紀寧だった)→渚→智代→風子(失敗)→風子→有紀寧→春原兄妹→ことみ→椋→杏(失敗)→杏→美佐枝→渚(二回目上書き)→幸村→勝平バッドエンド→勝平→何度か失敗後、美佐枝の光→アフター→汐→秋生→トゥルーエンド。

こうして書いてみるとまさしく手探りプレイだね。前知識ゼロの手探りで進めていくのが楽しい!とファミコン時代からずっとそうしてゲームを楽しんできた私は思うのですが、「読みゲー」というストーリー主導のゲームの場合、手探りで進めていくとストーリーに集中できないというデメリットがあります。

確かにファミコン時代でも、『ファミコン探偵倶楽部 消えた後継者』は肝心のストーリーよりも最後の崖のところでずっと詰まってたという印象のほうが強かったりします。あれは今考えても意地悪だわ。だけど逆に『ファミコン探偵倶楽部 うしろに立つ少女』では壁を調べることに固執していたおかげでよりストーリーに感情移入できたから、その辺はどちらが良いとは一概に言えないかもしれない。

さてKeyのゲームだと、まずはKanonの舞シナリオ。二択で即死すると、そこでストーリーがぶった切られてテンションが著しく低下します。ノーヒントは勘弁な。ノーヒント……だったよね? あそこ。レコンキスタでも新whiteでも終わるバでも、そんな二択で即死したんだよなー。50%で外れを踏み当てすぎ。ていうかレコンのは酷い引っかけだ。

次にAIR。これはもうプレイした人ならわかる酷いクリア順です。美凪バッドエンド→美凪→観鈴(中途)→佳乃。最初が美凪バッドでラストCGがあるのにエンドロールはなく、さらにCG鑑賞なども出なかったため、ちゃんと終わったのかどうかわからなくて不安になって最初からやり直し。少し選択肢を変えてようやく美凪クリア。不安を拭うや否や次の観鈴があまりにも中途半端な終わり方だったため、それ以降のストーリーにまるで集中できず。そしてSUMMER編で集中してなかったがためにAIR編での感情移入度が下がるという悪循環。こんなプレイになる可能性を危惧してリトバスの鈴は早い段階で中途エンドにしたんじゃなかろうか。

そんでもってCLANNADでは藤林姉妹、勝平、アフターが該当。実際私はぜんぶ引っかかりました。まず藤林姉妹、椋エピローグは簡単に迎えられましたが、杏では「椋にキスをする」部分で一回引っかかってやり直し。次は勝平、言うまでもないけど芳野さんです。そしてアフター、アフター本編は運良く一発だったんですが(渚シナリオを二回クリアしてたのが大きかった)、その「AFTER STORY」自体がなかなか出なくてね……。どこを見逃してたかというと、美佐枝さんです。智代のほうは早々とクリアしてたんだよね。付属のオフィシャルガイドブックに「美佐枝さんシナリオは、美佐枝さんシナリオでは終わらない……?」というヒントが書いてたんですが、私は発売日買いしたゲームの場合、説明書とかを読む暇すら惜しんでひたすらプレイに没頭するため、すぐには気づきませんでした。ただ、仮にこのヒントを見ていても答えに辿り着くのに時間がかかった可能性は高い。

紆余曲折の末、ようやく智代シナリオ創立者祭で美佐枝の光ゲット→とりあえずタイトルに戻ったら「AFTER STORY」が出現! 感慨がねぇー。そんな調子だったからアフター始めたばっかりの頃はテンション低かった。渚シナリオをクリアしてからだいぶ間が空いてたし。

さてさて、これらを踏まえて推奨攻略順を考えてみる。ちなみにビジュアルファンブック記載のオススメ攻略順序は、美佐枝→智代→有紀寧→藤林姉妹(「杏」表記)→勝平→春原兄妹(「芽衣」表記)→ことみ→風子→幸村→渚。この順序だと64HITは達成できないな。あくまで効率重視な感じ。

長くなったけどそろそろ結論を。にしなど推奨の攻略順は風子→幸村→美佐枝→智代→藤林姉妹→草野球→ことみ→勝平→有紀寧→春原兄妹→渚→アフター。こんな感じでどうかな?

第5回「光見守る坂道で智代編に登場する女剣士」

第5回はテーマとしては初の名無しキャラ、「光見守る坂道で智代編に登場する女剣士」について語ろう。ぷちAAも作成してみた。

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    i レ从从リソ
   《_゙ゝ_リ ゚ -゚ノリ
    ,ソ.ノ/ヽソiヽ
    ((./7 {充}ン′
    レ'〈/_l_」

誰?という人のために、まずは説明を。CLANNADアナザーストーリー『光見守る坂道で』の智代編に登場する女性。和服に袴、手には小刀という武人な出で立ちをした智代と同じ歳くらいの女の子。

荒れていた頃の智代を真剣で奇襲する物騒な子。己の正義に基づいて行動し、絶大な力を持つ悪……智代の力を失わせるために戦いを挑む。

その後(智代シナリオ時)、前年インターハイ優勝校の剣道部主将(?)として光坂高校(仮)に交流試合に来た際、朋也と連れ添って歩く智代を見て、彼女の求めていた未来を知る。

……と、こんな感じで端から見ると銃刀法違反の危ない人ですが、光坂智代編はバトルマンガというか、一昔前のツッパリマンガな世界なので気にしたら負けです。ていうか月夜の狩人と呼ばれる智代の過去自体がマンガの世界。

そんな彼女もよく考えると智代に最も近い存在なんじゃないか? と想像を広げたのが、今回のSS「CLANNAD 10years after ~楓~」です。

第6回「坂道」

第6回はCLANNADの象徴、「坂道」について語ろう。

坂の下の出会いから始まったCLANNADという物語。そしてふたりは登り始める。人生という長い、長い坂道を。

CLANNAD……特に朋也と渚の物語では、坂道が重要な場所として要所要所で登場します。発売数年前、最初に公開されたCLANNADのイメージ絵が『坂道を歩いている朋也と渚の後ろ姿』だったから当然か。出会いは坂の下だし、別れのシーンでも朋也の中の大きなイメージとして描かれてます。そこで流れる曲の名前もずばり『渚~坂の下の別れ』。

智代シナリオでも坂道は重要な場所。坂道で一度は別れたふたり。その後、智代は坂の上へ、朋也は坂の下へ、それぞれの未来を示すかのように歩き出した。そして八ヶ月という長い時間を経て、ふたりは同じ坂道で再会する。アニメでは別れが坂道じゃなかったのが残念だった。

学校は人生の縮図、と幸村先生は考えていた。なら、その学校へと続く坂道は? 人生の苦難を暗に示しているのではないかと私は考えています。朋也と渚はそんな人生の苦難をふたりで手を繋いで乗り越えていく、というイメージ。

坂道は「朋也と渚の人生を象徴するもの」とシナリオライターさんも言ってましたが、私的想像ではそんなふたりの一歩前を歩いていたのが仁科りえです。それに"坂上"智代は、朋也たちが坂の下にいる段階ですでに坂の上のほうを歩いていて、それを智代シナリオで朋也のために下ってくる、というイメージ。……などと、それぞれのキャラクターを坂道に配置して考えると面白い。

第7回「ボタン」

第7回はマスコット系動物キャラ、「ボタン」について語ってみよう。

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    く″ ´⑪)
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ボタンは単なるマスコットだけではなく、学園編でウリボウだったのがアフターで再会すると猪に成長しているという、そんな物語内の『時の流れ』を感じさせるための存在でもあります。

猪になったのは藤林姉妹シナリオ担当の魁さんの思いつきだったらしいですが、当人も一般的には猪を飼ってはいけないことを知ってて決めたようです。まぁフィクションなので普通じゃないペットがいても別に不思議ではない。

AIRのポテトが個人的に最高だったこともあって初プレイ時は印象が薄かったけど、アフターで再会した時には感慨があったなぁ。

アフター再会時のボタンはだいたい八歳程度。猪としてはかなりの高齢です。杏がボタンをいつ拾ったのかは明言されてませんが、ボタンの背中にウリボウ特有の縞模様があるため、学園編のボタンは生後4ヶ月以内とほぼ断定できます。

ボタンは汐と接点があり、しかも杏に拾われた場所が"あの"願いが叶う場所なので、いろいろと想像が膨らむキャラクターです。今回のSS「CLANNAD 10years after ~ボタン~」でもその部分にちょこっと触れてみました。

第8回「光」

第8回はクリア必須アイテムにして幸せの象徴、「光」について語ってみよう。ぷちAAイメージも作成してみた。

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端的に言うと、現実世界での光は『少女の思い』が具現化したもの、幻想世界での光は『町の人の思い』が具現化したもの。開発段階では実際に入手し、任意で使えるアイテムという位置付けだったらしい。それはそれで面白そう。

現実世界で光は『植物の種子につく冠毛や蜻蛉の一種』と憶測されてますが、見た人は誰もいないようです。そして光は幸せの象徴とされていた。良いことがあった時に見かけることが多く、幸せな風景を見守るようにふわふわと浮いていたそうな。

光は、昔の町の人には見えていたけど現在の町の人には見えない。つまり光が見える朋也は現在では特異な存在と言えます。逆に「変わってしまったわたしたちのほうが異質な存在」と有紀寧は言ってますが。

なぜかアニメなどでは『光の玉』という表現が使われてましたが、私はこの表現が好きじゃないんだよね。個人的にすごく違和感がある。原作では朋也が「光の球みたいなのが~」と一回例えただけで他には一度も出てこない単語なのに、一体どこから湧いて出たんだ。

以前アニメ感想記でも書いたけど、光が厳密に球状であると断言できない……というか上述の憶測や雪と見間違えること、それと近いものとして星のかけらが挙げられたことから考えて、むしろ球状でない可能性のほうが高いんじゃなかろうか。

さて、光を英語にすると『Light』や『Hope』がありますが、意味的にHopeのほうだと私は思ってます。智代アフターのメインテーマな曲名も『Hope』だったりと結構深読みできそうな感じ。

そのHope――希望を13個集めるわけですが、「13」という数字は忌み数と呼ばれ、西洋を中心に忌避されている数字です。12ヶ月や12時間のように、時の流れにも12までの数字が使われていますが、それを超えた「13」という数字は調和を壊す未知のもの、不吉なものという認識だそうです。

そんな不吉な数字である13ですが、ご存知の通りCLANNADは一応ループしている世界です。そのループという調和を壊し、未知の未来を作るのが「13」の光、というわけです。

この説は発売当時から結構あったように思いますが、原作者側にその意図があったかどうかははっきりしません。でもこんなふうに想像が広がるのは楽しいね。

第9回「宮沢有紀寧」

前回のテーマは数字的に第13回まで引きつけるべきだったと更新してから気づいた。それはともかく第9回は、先輩と呼びそうで呼ばない後輩系妹属性ヒロイン、「宮沢有紀寧」について語るぜ!

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    | l {_永}i リ
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      し'ノ

ゆきねぇは、企画段階ではメインキャラだったのにシナリオライターの都合でサブキャラに降格してしまった不遇なキャラです。三人のシナリオライターでたらい回しにされた有紀寧シナリオは、おまじないの結果によっていろんなヒロインが登場したりと本人のシナリオよりも他キャラのイベントのほうが印象深い。有紀寧の性格も相まって、ヒロインよりアシスト役のほうが似合ってる気もする。

そんなスーパーアシスターゆきねぇの未来は今回のSS「CLANNAD 10years after ~有紀寧~」で少し触れたけど、アニメと同じでベタながらもスナックバーのママを想像してます。はぐれ刑事純情派や探偵神宮寺三郎シリーズに登場するママみたいに、仕事の疲れを癒してくれる存在。Clannadryでも有紀寧を酒場の女主人設定している通り、CLANNADきっての癒し系キャラです。

有紀寧といえばもうひとつ、資料室です。元は図書室だったが、今はいらないものが雑多に放り込まれているだけの場所。変わってしまった場所。そんな忘れられた場所を有紀寧は自分の居場所とし、周囲から不良と呼ばれいらない者扱いされている男たちが集まってくる。

にしなどの資料室も有紀寧の資料室のように、CLANNADという存在が薄れつつある昨今でも誰かから必要とされる存在でありたいものです。

第10回「宮沢和人」

第10回は有紀寧の兄、「宮沢和人」について語ってみよう。

有紀寧や友人の男が言うには、和人は朋也とよく似ていたらしい。確かに『光見守る坂道で』智代編で登場した和人は、喋り方も含めて朋也によく似ています。智代に蹴られた足形を顔につけた仲間を見て大笑いし、「カメラ持ってくりゃよかった」などとのたまうところなんて、ボコボコになった春原を大笑いする朋也にそっくり。有紀寧と和人は「恋人同士のように仲が良かった」らしいので、兄と似ている朋也に有紀寧が恋心を抱くのは必然だったのかもしれない。

アニメでは「この町から争いをなくす」という高尚な理想を抱いた金髪の男……と、これまた違和感のあるキャラ付けがされてました。朋也とは似ても似つかないキャラだ。アニメの有紀寧回は結構キツかったね。感想記を読み返してみてもツッコミという名の文句を書きまくってる。

さて、和人に関する情報は以前雑記2010年10月21日で列挙しましたが、年齢等を特定できるほどの情報はありません。

ただし和人の命日についてはある程度推測できます。時の流れの描写が曖昧な日を最短日時で計算した場合、和人の命日は5月15日になります。特定とまではいかないので前回の有紀寧SSでは曖昧な表現にしておきましたが。

第11回「古河秋生」

第11回は、子供心を忘れないウルトラの父、「古河秋生」だッ! なんとか蟹座が終わる前にSS「CLANNAD 10years after ~秋生~」が完成したぜっ。

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     ヘ,(l.゚ ーナ~~
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『秋』に『生』まれるで秋生なのに、なぜか蟹座生まれなんだよね。名前の由来は親の名前から文字を受け継いだパターンかな?

秋生は普段から破天荒さが前面に出ていて目立ちませんが、本来はかなり激情的な性格です。激しい情熱を内に秘めていて、本人も自覚している通り感情的になると何をするかわからない。朋也が「ひとつの言動の中で喜びと怒りの感情を同居させることのできる類まれなる才能に恵まれた人」と評しているように、超きまぐれで感情の起伏が激しい人です。

演劇に携わる者は日常生活でも演技してしまう癖がついたりするらしいけど、普段の言動から見るに秋生の演技は真っ向から感情をぶつけるような演技だったのでしょう。特撮のヒーロー役にぴったりな演技。目の力で語る、みたいな。

秋生は朋也と渚の物語の……CLANNADのはじまりを作った人物。劇中の幻想世界の原点です。そしてCLANNAD最後の光は取りこぼしがない場合、秋生の光になるケースが多い。CLANNADのはじまりと終わりを担うキャラクターとして印象的です。オフィシャルコミックでは風子の代わりに最後のセリフも担当し、さらに印象深くなりました。

さて秋生といえばもうひとつ。機動戦士○ンダムです。秋生はガンダム好き……というか相当なガンプラ好きで、秋生の部屋は風子が恐れおののくほど膨大な数のガンプラで埋め尽くされているようです。本人曰く、男のロマンらしい。CLANNADプロローグ時を春原の部屋のカレンダーから2003年と仮定すると、秋生は年代的にファースト世代かな。

第12回「伊吹風子」

第12回は本日誕生日を迎える、13の光と共にトゥルーエンドを迎えるために必要不可欠なスーパー☆(←実はヒトデです)裏ヒロイン、「伊吹風子」参上ッ!

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         し'ノ

にしなどなのに風子SSの数が多いことからお察しの通り、別格のりえちゃんを除いて一番のお気に入りヒロインです。初回プレイ時から『は~りぃすたーふぃっしゅ』の曲が深く印象に残っていた影響もあるかも。

風子はちっちゃくてすばしっこい、小動物のような女の子。アフターになっても性格どころか容姿も変わらず、25歳児と呼ばれる合法ロリな存在です。

公子の無意識下の過保護の影響で風子は人見知りする子になってしまいましたが、本来は風のように破天荒でとらえどころがない……そんな個性的な性格です。

同じ人見知り仲間(?)のことみとは対極的で、意外と行動力があって能動的。積極性が高いわけではないが、姉の結婚を祝うことも、ヒトデを配って人を集めることも、すべて自分で考えて決断、行動しています。過去は人見知りだったかもしれませんが、プロローグの時点でそれは乗り越えて一歩を踏み出している、と個人的には思ってます。

風子は子供っぽい性格に反して本編で一度も涙を見せない強さを持っています。その精神的強さはCLANNADの中でも一番。朋也が関わらなかった世界でも、最後まで諦めず姉のため……そしてその願い叶わずと悟った後も西野のため……と、誰かのために懸命に頑張る姿がとても魅力的です。朋也は否定していましたが、そんなところも含めて渚との共通点が数多く見られます。

風子は渚と同様にアホな子ではありますが、朋也への超高速反論などから考えるに頭の回転は早そうなイメージです。むしろ頭の回転が早すぎて他人のペースに合わせられないタイプ。学力のほうは数学は苦手で「随想」が読めないけど、少なくとも町一番の高校入試に合格できるレベルではあります。私学だから数学が苦手でも国語英語で補えば大丈夫でしょう。朋也の『木彫りの熊featuringヒトデ』に対して「フィーチャリングされてませんっ、単なるエサになってますっ」と即座に反論しているので、案外英語は得意なんじゃないかと想像してる。

今回のSS「CLANNAD 10years after ~風子~」は小さな風子が好きな人には申し訳ない未来ですが、私的妄想ということでご容赦を。

第13回「願いが叶う場所」

第13回は前回の秋生や風子とも縁が深く、13の光と共に未知の未来がはじまる場所……「願いが叶う場所」について語るぜ!

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第13回は「光」にするべきだったところを第8回で何も考えずに語ってしまったので、今回は秋生→風子→願いが叶う場所、とテーマ順を狙ってみたよ。自己満足万歳!

CLANNAD本編で『願いが叶う場所』の曲が流れる場所は様々ですが、ここでは秋生が幼い渚を連れ出して辿り着いた場所、はじまりの場所、そしてCLANNADの幕を閉じる場所……タイトルメニューで少女が眠っている緑の木の下を『願いが叶う場所』として語っていきます。

そのタイトルで流れている曲は『汐』……クリア後に「なるほど」と思わせるポイントです。真・女神転生のカオスヒーロー最初と最期のセリフみたいな伏線が好きな私としては、こういう何気ない伏線――というか細かい演出が好き。

さて、『願いが叶う場所』という言葉が本編で初めて登場したのは、夜に演劇の練習をしていた渚のセリフ中です。「あなたをお連れしましょうか」という言葉に朋也は思わず頷いていますが、そこでの『願いが叶う場所』はこれまでに断片的に描かれていた幻想世界との関連を示唆しているだけでなく、坂の下で立ち止まっている朋也が最低から違う場所へ向けて、変わっていく一歩を踏み出すきっかけにもなっているんじゃないかと。

それは春原がバスケをしようと言い出した時に朋也が「渚と出会った人間はみんな変わっていく。どんな方向かはわからなかったが……少なくとも最低から違う場所へ向けてだ」と独白したことから想像しています。

そして渚が創立者祭の舞台で演劇を始める瞬間の朋也の独白が「……連れていってくれ、渚。この町の願いが、叶う場所に」なんですが、読点の付け方が深読みできそうで面白い。「この町の、願いが叶う場所」ではなく、「この町の願いが、叶う場所」なんだよね。ここでの"この町"は、幻想世界の少女に置き換えても意味が通じそうな感じです。直後の幻想世界で少女とガラクタ人形は『願いが叶う場所』へ向けて旅立つわけだし。アニメでは幻想世界の進行速度が遅すぎて繋がらなかったけど、その旅立ち描写は汐との旅立ち直後、というなかなか面白いタイミングで挿入されてたね。

第14回「なっちゃん」

第14回は、13という未知の未来をさらに越えた先にある未来……そんな次世代のCLANNADを担うニュージェネレーションメインヒロイン(妄想)、「なっちゃん」だッ! ぷちAAも作成っ!

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    ノノ ヽ(l.゚ ヮ゚ノ''
.   ((  ⊂)大iつ
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なっちゃんは渚シナリオ(とアフター)に登場する、古河塾に通う小学校低学年の女の子です。塾の教室に置いてあった朋也のバッグの中身を物色する、好奇心旺盛にしてチャレンジャーな女の子。いつだって無謀すぎるらしい。同じ塾の男の子に真正面から告白されてまんざらでもない様子だったが、一年後の早苗シナリオに登場した時もふたりの関係に変化はないようだ。

そんなちょい役のなっちゃんですが、にしなどではCLANNATSUの主人公『磯貝夏海』という妄想を前面に押し出しています。これは初プレイクリア後の未来想像から生まれたもので、トゥルーエンド後の世界で渚から汐への世代交代の間隙を埋める存在として、年齢的に近いなっちゃんにスポットを当てました。

なっちゃんに関する情報は上記最初の部分だけなので、磯貝家の長女という設定もこじつけです。「なっちゃん」で「磯貝という名字とも繋がる名前」から連想して『夏海』という名前にしました。十年近く妄想していたキャラなので思い入れがありますが、りえちゃんもだけど原作の脇役に私的設定を追加するのを好まない人もいるだろうな、とは思ってます。オリキャラも同じように賛否両論あるだろうし、こういうのは二次創作の楽しいながらも難しいところだね。てなわけで今回のSS「CLANNAD 10years after ~なっちゃん~」です。

第15回「磯貝」

第15回は古河家のお隣さん、実は主要人物? 「磯貝」さんについて。なっちゃんを磯貝家の長女にこじつけている以上、磯貝さんについても続けて語らせてもらいましょう。

磯貝さんに関するゲーム本編での情報は少ない。古河家の隣家に住んでいて、主婦のようだが家族構成は不明。磯貝表記でのセリフはなく、主に風子の偽名として名前が登場。早苗と仲が良く、創立者祭にも来ていた。早苗パンのお裾分け先として秋生のセリフにも登場。アフターストーリー早苗シナリオの頃に料理教室を開いた。早苗よりパンを焼くのがうまいらしい。……と、このくらいです。

話は変わって、ゲーム中に主人公岡崎朋也の名前を変更する際に特定の名前を入力すると、「同じ苗字(名前)の主要人物(ちょい役)がいますが、このままでよろしいですか?」と注意が表示されます。誰が主要人物で誰がちょい役かはCLANNAD登場人物一覧を見てもらうとして(ちなみに仁科りえは主要人物)、ここで『磯貝』という名字は主要人物になっています。

にしなどではCLANNATSU妄想の際、「主婦」表記されているキャラからいくつか設定をチョイスしていますが、ちょい役っぽい磯貝さんがなぜ主要人物なのか? それは前述の風子の偽名がポイントになっています。

風子が古河家を訪れた際、早苗の知っている『伊吹』という名字を伏せるために選んだ名前が、隣家の表札……『磯貝』です。主要人物である伊吹風子が一時的に使用した偽名『磯貝』が主要人物とされているわけです。

しかしここからが妄想の膨らませどころ、とばかりに翼を広げていった結果が前回のなっちゃんこと磯貝夏海です。渚の「この子は、隣の子ではないです」というセリフから子供がいると推測、さらに子供のいない主婦が高校の創立者祭には来ないはず……などと、どんどん想像を広げていきました。にしなど的にも磯貝さんは主要人物です。

第16回「ジェット斉藤」

この夏の最後を飾る第16回は斉藤系隠しキャラ、「ジェット斉藤」だッ! ヘイ、ぷちAAも作成したぜ!

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゚ 。  。       _ _ゞ_{ミY彡!
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ヾ  :;; 。゚へ_/ ̄ 「js」〕 。: ゚; ゚
  ヽ`ヽ゚.;゚ 、___ /∠/ 。:;;゚ 。; 
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  ~ ⌒ ー~' ー' ~~ ー~ー 、´; _

ジェット斉藤は春原が面倒を見ている後輩。ゲーム本編で春原に何度も「ついていかない」と登場する隠しキャラで、教室(廊下)に荒波を巻き起こすその姿はCLANNADキャラの中でも随一のインパクトを誇ります。

セリフは「ヘイ、来ないのかい!」だけで名前は不確定名の『ジェット男』、さらに斉藤という名前は教師にも使われている名字だからか、前回の磯貝さんで触れた名前変更時にも注意が表示されないという、まさに隠しキャラなジェット斉藤ですが、そのインパクトゆえにプレイした人の記憶に残りやすいようです。専用の効果音、tunami.wavも用意されてるし。

今回のSS「CLANNAD 10years after ~斉藤~」、そして以前Clannadryでも触れましたが、にしなどでは「過去のジェット斉藤=ホップ斉藤」と妄想しています。ホップ斉藤は智代アフターに名前が登場する伝説の男。実はリトバスでも存在がこっそり示唆されてたりする。

友達と呼べるのは朋也くらいしかおらず、後輩には先輩面でたかろうとする……そんな春原が面倒を見ている後輩ということで、世話するに至った事情が何かしらあるのではないか、と想像を広げました。

第17回「藤林杏」

今回は双子の姉妹の誕生日同日更新というハードスケジュール。まずは第17回、姉から語りましょう。CLANNAD最強の虎にして一撃必殺のスナイパー、「藤林杏」ッ!

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    ` `' し'ノ

双子の姉妹で表面上の性格が大きく異なるのはよくあるパターンですが、藤林姉妹もその例に漏れず極端に正反対な性格をしています。姉の杏は活発で強気な性格ですが、精神的にはやや弱い部分が垣間見えます。特に恋愛に関しては非常に奥手というか弱気。

そして杏は椋の表面的な部分に羨望を抱いています。自分とそっくりの容姿をした最も近しい人間が持つ、己にはない魅力に対する憧れというやつでしょうか。特に身長とウエストは同じなのにバストは3センチ、ヒップは1センチも椋のほうが大きい、という事実は智代のスタイルを羨んだりする描写からも顕著になってます。自分もそんなに悪くないのに。

さて、杏を差してよく言われるツンデレという属性ですが、私個人としては杏はツンデレのカテゴリーには入らないキャラだと思ってます。どちらかというと女友達カテゴリー。フレラバのキャラで例えるとゆずゆではなく理奈のポジションです。CLANNADでツンデレカテゴリーに当てはまるとすれば、やっぱり風子が一番近いと思う。あと私的妄想を含めれば杉坂か。なっちゃんはなんちゃってツンデレ。

杏の辞書投げを中心とした攻撃は一歩間違えると理不尽暴力系キャラになってしまうので、SSを書く時も気を遣ってます。本編が理不尽暴力系一歩手前のラインなので(朋也が春原に対してもっと酷い仕打ちをしているから、というのもあるが)、その辺のさじ加減が難しいキャラだと思う。あ、でもバイクでひき逃げするのだけはたとえギャグでもダメです。無理です。生理的に受けつけません。

杏は初回プレイ時に『ALMA ~ずっとそばに…~』の麻宮梗(この子も「きょう」です。魁さんの手がけたキャラクターは「きょう」という名前が結構多い)とキャラが被ってるように感じて新鮮味が薄かった。梗も暴力系友人枠だし、「あたし」だし「あんた」って呼ぶし、英和辞典投げるし、椅子投げるし、飛び蹴りするし、フルーツ牛乳じゃなくてイチゴ牛乳好きだし、世話好きで面倒見がいいし、妹じゃなくて親友のために自分の恋心を抑えて諦めようとするし……うーん、改めて列挙するとめっちゃキャラ被ってるな。前述のバイクを含め、そんなシナリオライターの好み(?)が時折背後に透けて見えたのが難点。ていうか梗シナリオみたいなイチャラブが杏シナリオでも見たかったんだが結果は……。そんなわけでALMAは個人的に好きなゲームです。杏好きの人にはこっちの梗もおすすめ。

SSもダブル公開というスーパーハードスケジュール、「CLANNAD 10years after ~杏~」だッ! でも時系列は椋のほうが先です。

第18回「藤林椋」

双子の姉妹の誕生日同日更新、続きまして第18回、妹を語りましょう。恋する乙女のインスピレーションで一撃必殺のフォーチュナー、「藤林椋」です。

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    i (〈ノノ))〉〉
    》《l ゚ -゚ノリ
     /)丞)〉
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     し'ノ

双子の姉妹で表面上の性格が大きく異なるのはよくあるパターンですが、藤林姉妹もその例に漏れず極端に正反対な性格をしています。妹の椋は控えめで弱気な性格ですが、精神的には強く恋愛に関しても杏よりも積極的で強い部分が垣間見えます。そして椋も杏と同じような理由で、姉の表面的な部分に羨望を抱いています。

さて、椋はその可憐なビジュアルから発売前はかなりの人気を誇っていた(と記憶している)キャラクター。だが結果は……ある意味、有紀寧以上にシナリオ不遇なキャラと言えましょう。

恋に恋するみたいな感じで私はそんなに気にならなかったのですが(ぶっちゃけると相手が勝平なのは気に食わないという個人的感情はあった)、椋が勝平を好きになった要因や過程のような描写がまったくと言っていいほどないのは、さすがにちょっと……と思う。まぁ勝平シナリオはアフターストーリーに絡む予定だったのを急遽学園編で完結するように変更され、シナリオの大部分を書き直す羽目になったらしいので、元々はしっかりと恋愛を描写していたのかもしれない。

ただ、自分の占いが外れる自覚はあるのに自作料理がまずいという自覚がない(味見をしない)のはどうも不自然な感じがするんだよなぁ。その後、努力して上達するからいいけど。

てなわけで、そこかしこに姉の引き立て役みたいな感じがするのが難点でした。椋エピローグも急遽追加されたものらしいし、不憫だ。それもあってかアニメでは出番も多くてメインキャラっぽく感じた。

SSもダブル公開「CLANNAD 10years after ~椋~」です。

第19回「伊吹公子」

第19回は風子の姉にして渚の恩師、「伊吹公子」について語りましょう。

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      , '´   `ヽ
    i 〈(ノノリ))〉
    ヽ,(l ゚ ヮ゚ノ!
        {_公}
        /UUj
       じノ

どこか奇抜な部分を含有していることが多いCLANNADキャラクターの中でも一番の常識人で"ふつう"っぽい公子さん。『常識のある早苗さん』と朋也に例えられるほどで、優しい先生として渚にも慕われています。

そんな公子も破天荒な妹、風子の前では思わずツッコミが飛び出してしまう。というより風子と喋っている時のややツッコミポジションな公子が本来の彼女の姿なのでしょう。

さて伊吹姉妹の両親について本編ではまったく描写されないのですが、公子は自分を「過保護に育てられた人間」と評しています。伊吹家の外観などからはそこそこ裕福な家庭に見えますが、少なくともあの家には公子と風子しかいなかったと思われます。両親不在の理由についてはいろいろ想像できますが、少なくとも風子にとって公子は姉であり母であったのだろう、と考えています。

母親代わりになれるほどの家事万能ゆえに無意識に妹を甘やかすことになり、妹の自立を促せないのはトルテの姉サバラン(天からトルテ!)と似たような境遇。霧島姉妹(AIR)も似たような感じですが、聖は意図的に過保護なのでちょっと違うかな。

公子は渚にとっては恩師であり、早苗にとっては友人であり、芳野や風子にとっては大切な人、そして公子にとって幸村は恩師……という風に物語初期から人脈が広く、人と人の繋がりが重要なCLANNADにとって欠かせない人物です。

今回のSSは「CLANNAD 10years after ~公子~」だよ。

第20回「古河早苗」

めっきり秋です。秋といえば食欲の秋というわけで、第20回はCLANNADで食といえばこの人! 母の強さと優しさを併せ持つ永遠の若奥様、「古河早苗」だっ!

         ヘレ')
        , '´ '``ヽ
      i (ノノリ))〉
    ∑!,l| ^ヮ^ノl|
     (( リ{_Å}i リ
      ノ) {iUU}
        じノ

CLANNADで家族を象徴するのが古河家ならば、早苗は母を象徴するキャラクター。実際、作中でも母としての存在感が大きく、朋也たちを支え、導いてくれる存在です。

性格も含めて渚の姉と言ってもまったく違和感がないほど若々しい早苗さんですが、開発初期段階では結構ふくよかな体型でまさにおばちゃんと言った感じの容姿だったようです。それはそれで面白そうだ。

さて、早苗さんといえば早苗パンを語らずにはいられないでしょう。

まず大前提として、早苗さんは料理がとても上手です。クリームシチューとかカレーとか、朋也も絶賛するほどのおいしさ。なのに早苗さんの焼いたパンはいつも売れ残ります。なぜなら、アイデアが奇抜すぎるパンだから。実の娘である渚をして「とても得体のしれないもの」と言わしめるその物体は、食べた者のコンディションをレッドにします。以下、尊き犠牲者たちのありがたいお言葉。

「まずいから言ってるんだけど」(朋也)、「はい、とってもおいしそうでした!」(芽衣)、「………」(白目を剥いて卒倒した春原)、「し…史上最悪ですっ…」(風子)、「…食べ物を粗末にしてはダメだ…ダメなんだぞ…しかし…いや、ダメだ…」(智代)、「ぐむおおぉぉぉーーーっ!!」(竹下)、「俺は大好きだーーーっ!」(秋生)

春原、風子、智代、竹下、以上四人はレインボーブレッドを食べた後の言葉。早苗パンの中でも特にやばいことがわかります。

そんな早苗さんのパンは、秋子さんのジャム(Kanon)と酷似しています。秋子さんはラーメンの麺どころかなるとまで自作してしまうレベルの料理上手で、"ふつう"のジャムも絶品です。だが"甘くない"ジャムだけは名雪も逃げ出し祐一も言葉に詰まりあゆも「うぐぅ」と言い香里も引くレベルのもの。秋子さんはいろんな意味で早苗さんの始祖と言えるかも。

今回のSSは「CLANNAD 10years after ~早苗~」ですよ~。

第21回「坂上智代」

第21回は本日誕生日を迎えるCLANNAD無敵の龍にして二代目伝説の生徒会長、「坂上智代」ッ!

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       , '´r━`ヘ、
     i ,/ノノノ)〉〉'
     | レ(l.゚ ー゚ノ〉
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      ``  し'ノ

「なにもかも変わらずにはいられない」というCLANNADの物語の中にあって唯一変わりゆくものを止めようとする存在である智代は、あらゆる面で渚と対極の位置にいながらも潜在的には共通点も多いキャラクター。

そして智代は「自分の好みに合わせて作った」と公言しちゃうくらいにシナリオライター麻枝さんの好みが集約されたキャラでもあります。杏も同じような印象だけど公言はされてなかったと思う。

CLANNADキャラでも随一の武力を誇る智代は、一撃必殺の杏とは対照的に手数で勝負するコンボ重視のキャラ……と思いきや、エピローグ後は一撃で春原の顔面を崩壊させるほどのパワーキャラに変貌。いったい彼女に何があったのか。流星蹴り(ロマサガ3)でも閃いたのか。

まぁもともと朋也をす巻きにして布団ごと運ぼうとしたり、クマの着ぐるみを着た状態で村の男たちの三倍働けるくらいの腕力と体力を持ち合わせているくらいだ。並の男じゃ勝てないな。それでも本人は女の子らしく振る舞っているつもりらしい。だが竹を割ったような漢らしい性格からしても同性にもてそうなタイプ。実際、杏と同じように同性から何か渡されることが多かったようだ。

部活破りの件は特に顕著ですが、智代はあらゆる面でマンガの世界が垣間見られるキャラ。思わずリトルバスターズの面々も「ららら~ら~」と踊り出すほど。マンガじゃなくてゲームなんですけどね(byゆみみみっくすのナレーション)。

そんな完璧超人始祖(パーフェクト・オリジン)な智代ですが、この世に完璧などというものはない。唯一にして最大の欠点を持ち合わせています。

その欠点とは、恋愛に盲目的で依存心が強いこと。恋は人を強くする。恋は人をダメにする。両方ともよく言われる言葉ですが、智代に限っては完全にダメにするタイプ。バッドエンドでは自分で誓った目標も捨てて学校を辞めるし、智代アフターでは終盤まで頑張ろうとする朋也の足を引っ張る役どころが多い。

結論。朋也と恋に落ちなければ……というか何かに盲目的にならなければ智代は最強。ただそれだと人生の宝物を見つけることはできないかもしれない。

今回のSSは「CLANNAD 10years after ~智代~」だ。

第22回「相楽美佐枝」

秋深し、肌寒くなってきた今日この頃。秋は食欲だけじゃなく、恋と哀愁の季節。てなわけで第22回はCLANNADで恋といえばこの人! 初代伝説の生徒会長、「相楽美佐枝」だっ!

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   ㎎'´   `ヘ
    ノiミ〈ノノリ)〉〉
    ヽ(lj ゚ -゚ノ!
      く)升)〉
      i|__,j
        じノ

美佐枝さんは有紀寧以上にシナリオが難航し、存在がなくなる可能性もあったらしいキャラクター。でも結果的には智代や芳野、公子といった人の繋がりにも貢献するキャラとなりました。

美佐枝さんのキャラが決定したきっかけは某アニメのヒロインだったらしい。当初から有力な説では「千鳥かなめ(フルメタル・パニック!)」のようだ。2002年放送で時期的にもぴったりだが、その時期のアニメに関する知識はあまりないのでよくわからない。偶然にも声優まで同じだが、狙ってやったとはとても思えない。CLANNADの後付けキャストはおそらく青二塾に丸投げしたキャストだろう。センチ声優を多数起用し、Keyスタッフも収録に立ち会ったらしいAIRのCS移植の時とは違い、CLANNADでは誰かさん(モンスターメーカー神々の箱舟)のやる気がまったく感じられなかったし。

話が悪い方向に逸れたので、もとい。そんな感じで世話焼き系のキャラに決まった美佐枝さん。本編での美佐枝さんは世話焼きというよりは、頼まれたら断れないお人よしなキャラに感じる。そりゃ寮母なんだから世話焼きなんだろうけど、世話焼き系のキャラはやっぱり杏のほうが近いかな。

ともあれ世話焼き系キャラの方向で突破口を開いた美佐枝さんのシナリオは、KanonやAIRに続く動物系恋愛の第3弾。猫の恩返しといったところか。智代シナリオと同じく朋也との関係はこれから始まる、という未来を想像させるエピローグです。

美佐枝シナリオ以外では、あの場所でいつまでも待ち続ける未来しか見えない美佐枝さんですが、なんとか幸せになってもらいたいものです。そんな今回のSSは「CLANNAD 10years after ~美佐枝~」だよ。

第23回「志麻賀津紀(虎猫)」

第23回は美佐枝の思い人で猫の恩返し、「志麻賀津紀(虎猫)」について語りましょう。

       ∧∧
     (,, ゚ヮ゚)
     ノミ '!
    ~(ミ,uu'

志麻くんは「志麻賀津紀」の飼い猫。主人が受けた恩を返すために"光"の力で人の姿となって美佐枝の前に現れる、というCLANNADでもきっての幻想的な存在です。ファンタジーです。アニメで小ネタとしてセリフを言っていた通り、Kanonの真琴に近い。

「志麻賀津紀」に飼われていた頃の猫としての名前は不明で、美佐枝は名前をつけませんでした。名前はまだない。それを前回のSSでシマと名付けたのはベタな感じですが、いくら光の奇跡といっても再び人の姿に戻っちゃうのはさすがに抵抗があったので。

そんな志麻くん(虎猫)の主人である志麻賀津紀(本物)ですが、彼の名前すら知らなかった美佐枝さんが余命幾ばくもない彼に対してどんな言葉をかけたのか、気になるところです。死を目前に達観した様子だった彼が、飼い猫に恩を返すように頼むほどの美佐枝さんの言葉とは? そして"光"を飼い猫に渡すという不可思議な現象。そんな過去を想像するのも楽しいね。

第24回「サキ&ユキ」

第24回はいつもふたり一緒のかしましコンビ、語るのも一緒に語っちゃおう「サキ&ユキ」だっ!

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    y'´  `ヽy  , '´ 、,`ヽ
  (^l (从ハ从j ) iヾレ'^"''゙ソ)
  ) j、!l ゚ ヮ゚ノ!(  |l iリ ^ヮ゚ノj
      く)芥iつ.  ´~く)芥iつ
.      くi__i〉     くi__i〉
     し'ノ       し'ノ

サキとユキは美佐枝の親友で、まさに女子高生といった感じの元気でおしゃべりなふたり。美佐枝と合わせて三人で行動することも多い。美佐枝と志麻の仲をいろんな意味で応援する。

志麻の現実を知っても変わらず友達でいようとしたり、美佐枝のために創立者祭で芳野の手伝いをしたりと、ただ元気で騒がしいだけではない友達思いな一面が印象的。美佐枝にとっても志麻にとっても、ふたりは一生の親友と呼べる存在だろう。

美佐枝・サキ・ユキの三人組は仁科・杉坂・原田の三人組と違い、三人とも活発な性格で一人称「あたし」なので、前回のSSでも会話で各キャラの区別をつけるのが難しかった。なので例によって原作のセリフから拡大解釈して、セリフの末尾に「~」をつけることが多かったユキを間延びした喋りにすることで個性をつけてみました。アニメでのふたりは表情豊かで可愛かった。

第25回「芳野祐介」

第25回はCLANNAD愛の伝道師、町の中心で愛を叫ぶ「芳野祐介」ッ!

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      , '´'´ `ヽ、
    i (〈ノノ)〉〉'
    ヾ.(l ゚ -゚ノ!
      (,とス)
       fi]モテ}
        |_」_ノ

ロックな魂と、背後でギップル(魔法陣グルグル)が悶え苦しむほどに愛溢れるクサいセリフが印象的な芳野さんは、他のキャラとは違った形でたくさんの人との繋がりを持つキャラクター。公子のように人脈が広いわけではないが、芳野の歌は勝平や芽衣を始めとして公子・朋也・春原・渚……と多くの人に共感と感動を与えています。音楽を唯一の生きる道としていたこと、そして過去の栄光と挫折を経て現在は新たな人生を歩んでいること……その二点が「仁科りえ」と共通しているため、何か繋がりがあるのではないかと妄想していた時期が私にもありましたが、別に何もなかったぜ!

初プレイ時は立ち絵があることから重要人物であることはすぐにわかりましたが、それは風子シナリオ登場時に納得していたためアフターで再登場した時には結構驚きました。そして語られる芳野の過去……はどっかで聞いたような話だったけど。

朋也と芳野のアフターでの描写……学生時代を怠惰に過ごしていた人間が社会に出て仕事の厳しさを知る一連のシーンは、この手のゲームでするようなことではないのでとても新鮮でした。朋也の根が真面目なところはそれまでも描写されていましたが、仕事に対する真剣な態度がそれをさらに際立たせています。反面、とあるキャラに対する好感度がダウンしちゃったんだけど、それについてはそのキャラを語る時にしておくね。

さて、そんな朋也の真面目な部分をより引き出したのが、厳しくも優しい職場の先輩である芳野さんです。仕事はひとりじゃできない、だからこそ仲間と協力してひとつのことを成し遂げる。現代社会で忘れてしまいがちな、そんな当たり前のことを再認識させてくれる理想の仕事仲間です。その芳野さんも親方に並ならぬ恩があるようだ。物語の中でくらいそんな温かい会社があってもいいよね。

今回のSSは「CLANNAD 10years after ~芳野~」。

第26回「親方」

第26回は芳野や朋也の上司でありボス、電気工事会社(アニメでは光坂電気)の「親方」について語ろう。

朋也や芳野が勤めている会社は下請け会社。なので当然、親方は下請け会社の社長です。アニメでは親方じゃなくて「社長」表記だ。親方自身も一職人なのでしょうが、職人気質で頑固な感じはまったくなく、喋り方も穏やかで優しい性格のように思われます。

そんな親方にも野心はあるようで、芳野が言うにはいつかは元請けになって会社を大きくしたいと思っているらしい。そのためにいろいろ無理をして義理を果たし、大きな仕事を取ってきているようだ。

その元請け会社なんですが、元請けに提出する工事現場台帳の写真を撮る際、朋也の指摘に芳野が「やかましい。それらしく見えればいいんだ」と言っているところは非常にリアルというか生々しい感じがしました。芳野のセリフは暗に「元請けにはその写真の意味を理解する知識がないから適当でいい」と言っているようなもんです。

下請けと元請けの確執というのはどの分野でもそれなりにありそうですが、こんな温かい会社でもそういうことがちょっとはあるのかもね。でもまぁ親方の人柄ならそこまで酷くはないでしょう。朋也の現場監督推薦の件も、親方の人脈から来たものだし。その推薦が断られた時、親方はどう思ったんだろうね……。

話は変わって智代アフターで朋也が就職した廃品回収会社の親方は、今回語った親方と違ってぶっきらぼうで職人気質なタイプですが、優しさを秘めた良い上司。幸村といい古河夫妻といい芳野といい、朋也は先達に恵まれてるね。

第27回「一ノ瀬鴻太郎&水恵」

第27回はことみの両親にして稀代の理論物理学者、「一ノ瀬鴻太郎&水恵」夫妻について語りましょう。

一ノ瀬夫妻はCLANNADの世界観構築において重要なキャラクター。世界がこの形を得る過程で剥がれ落ち、微細に封じ込められた次元、言わば『隠された世界』の行方を最初に突き止めた……はずだったらしい。

いきなり小難しい理論になりましたが、この『隠された世界』こそが幻想世界のことを示しているようだ。AIRの世界観構築にはことみシナリオ担当の涼元さんが関わっていたようだし、CLANNADでも世界観構築に一役買っているのでしょう。ただ、ご存知の通り涼元さんはことみシナリオの完成に手一杯となり、担当予定だった有紀寧と美佐枝のシナリオにほとんど関わっていないため、世界観についての布石は中途半端な感じでした。予定通りふたりのシナリオも担当していたら、また違ったCLANNADになっていたかもしれない。それでAIRみたいに壮大になりすぎても困るけどね。

夫妻は人の親としての道を最後まで貫きました。自分たちの人生の結晶である論文をあっさり捨てて娘へのメッセージを残したことは後世の歴史家から見れば愚かな行為だったのかもしれない。けれど夫妻を知る紳士も言っているように、夫妻の最後の言葉こそがこの美しい世界を現す最高の論文だったのだろう。それは人としては駄目だったけれど父親としては立派だった直幸とどこか似ています。

立ち絵やイベント絵などないふたりですが、アニメではもちろんふたりの姿も映像化されました。でもアニメで初めて映像化されたキャラの中でも印象に残ってない。特に鴻太郎は灰色の髪とおヒゲがトレードマークのパイプが似合うナイスミドルを想像していたため、違和感のほうがすごかった。

第28回「幻想世界」

めっきり寒くなって本格的に冬が到来。そんな第28回は、それはとてもとても悲しい冬の日の幻想物語、「幻想世界」について語りましょう。獣のぷちAAと少女&ガラクタ人形の新規ぷちAAも作成しました。

        _nn
  ,イ~~~~@・ ヽ
~( ~ ~ ,ト-- '
   ゙U~UU

幻想世界は町のもうひとつの姿。"見え方"が異なるだけで同じ町ではあります。

そこでの"人"は光の姿でふわふわと浮かんでいて、人の作りしモノ"人工物"がヒツジに似た獣の姿をとって大地に残された数少ない自然を食い荒らしています(ガラクタ人形の主観)。

朋也の光も元々は他の光と同じく浮かんでいただけだったんですが、少女が作ったガラクタ人形に宿ったことでこの世界に"生まれ"ました。

理論的に考えると前回の一ノ瀬夫妻が発見した『隠された世界』なんですが、理系が苦手なので超弦理論や宇宙論とかひも理論や並列世界とか……その辺の小難しい理論はよーわからん。とにかくとってもとっても不可思議な時空世界、略して不思議時空なんだよ!(暴論)

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.    , '´   `ヽ
   (( (ノ( ) |  , -─-、 =┐
     !イ   ノ=i       ヽ┘
      /)!从ノ,ハ il_____li
     (.く__ゝ'(_]Y     Y.、
      _しU_   └┬┬┘┘
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そんな不思議時空と、生死の狭間で繋がってしまった幼い頃の渚。それがCLANNADの起点です。

朋也も渚も汐も一度は幻想世界を最後まで体験しているため、幻想世界についての記憶をおぼろげな感覚として持っています。風子もその感覚を持っているような素振りを見せてますが、それは風子が渚と同じく生死の狭間にいた時に、そして不自然な存在として学校に現れた時に、この"町"を違った見方で見ていたのかもしれません。幻想世界だけでなく渚の卒業式でもそうですが、私は本編で書かれた"風"の描写は風子を示唆しているところも多いと妄想しています。

そして渚が拙い言葉で伝えた幻想世界の光景をただひとり、その豊かな感受性で感じ取ったのが、我らがスーパー非攻略系立ち絵なしヒロイン仁科りえちゃんです。

りえちゃんがピアノソロ用に編曲した『マ・メール・ロワ』こそが、りえちゃんがイメージした幻想世界。それを聴いた幸村先生は音楽技術的な意味で褒めていましたが、ここでのポイントはりえちゃんが"連弾曲"のマ・メール・ロワを"ソロ"用に編曲したところだと私は思っています。「世界にたったひとり残された女の子の悲しい物語」に連弾曲は合わないとりえちゃんは考えたのでしょう。そこでソロ用に編曲しちゃうところなんかは杉坂も思わず自慢したくなるほどの音楽に対する情熱が窺えます。「びっくりするぐらいにぴったりです」と渚も絶賛していますが、幻想世界の少女と仁科りえはどこか関わりがある?と初回プレイで深読みさせたくらいに、りえは渚のイメージする幻想世界を音楽で再現してみせました。

そこで小技をひとつ。PC版のBGMフォルダ内にあるファイルは『Bgm26A.nwa→幻想』、『Bgm26B.nwa→幻想 II』、『Bgm35.nwa→マ・メール・ロワ仁科りえ編曲ピアノソロver.』といった具合にひとつひとつBGMが割り当てられています。

そこでBgm35.nwaをBgm26A.nwaとBgm26B.nwaにそれぞれリネームすれば(バックアップを忘れずに)、りえちゃんがイメージした幻想世界をちょっとだけ体験できます。これがまた「びっくりするぐらいにぴったり」なんだよね。曲の長さで自動ループが決まってるようで曲が一周すると音飛びするレコードみたいになっちゃうのが難点だけど、PC版を持ってる人は自己責任でお試しあれ。

……今回のSSは「CLANNAD 10years after ~幻想世界~」。

第29回「古河渚」

CLANNAD10周年を迎えた今年の最後を飾る第29回は、本日誕生日を迎えるパターンのラストワン。噛めば噛むほど味が出る大器晩成型スーパー地味系メインヒロイン、「古河渚」「岡崎渚」について語るよっ!

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渚は朋也と共にあってこそ最大限に魅力を発揮できるキャラクター。最初の印象は病弱で留年している少女という設定が前面に出ているせいもあってか弱々しくてインパクトも弱いヒロインでした。

Kanonのあゆや名雪、AIRの観鈴もそうだけどKeyヒロインは初登場時にヒロインのほうから声をかけてきます。そこで強烈な個性を(プレイヤーに)ぶつけてくるわけですが、渚の初登場時の言葉は誰に声をかけるでもない独り言です。そこで主人公朋也のほうから声をかけていくんだけど、その朋也から渚を「呼ぶ」行為が最後であんなふうになるとは思わなかったので、アフターでは「おおっ」となりました。

その後も「タイヤキ泥棒」や「初対面で友達になりたがる少女」のような個性をぶつけてくることは少なく(だんご大家族もそれらに比べると弱い)、初期の頃は周囲の個性的な面々に比べるとかなり地味な印象です。それは渚が作中でもそんな印象の人物なので仕方ないですが、序盤は楽しい日常で終盤になると一気に重くなるKanonやAIRみたいな展開を想像していた私は、序盤から楽しい→悲しいを何度も繰り返す渚シナリオの展開は「初っ端から何度もヘコますイベントを入れてくるなー」という感想でした。それが人生山あり谷あり、ふたりで人生という坂道をゆっくりと登っていく過程だとわかった時は「なるほど」といった感じでした。終盤の展開は無理に山を登らせたり谷に突き落としてるような印象だったけど。

こうして数々の困難を朋也とふたりで乗り越え、渚は少しずつ強くなっていきます。

体は弱くても強く生きる、それが渚の願い。他の人にとって当たり前の日常が、渚には頑張らないと手に入らない。そこにはハンデを背負う者だからこそ持ち得る強さがあります。

朋也との共依存関係は物語の展開と共に少しずつ変化していってますが、知り合い→友達→恋人→夫婦→家族と変わっていくうちにプレイヤー側の感情移入も強くなっていき、最終的にはトゥルーエンドでふたりが幸せになれてよかった、と思うようになってました。

岡崎家の幸せな未来を想像するのが楽しいのは、やっぱり長い長いCLANNADという坂道(ゲーム)を苦難の末に登り切ったからかもしれない。そんな今回のSSは「CLANNAD 10years after ~渚~」です。

第30回「だんご大家族」

新年明けました第30回は、国民的人気? 局地的ブーム? 廃れてしまった大人気キャラクター、みんな仲良し「だんご大家族」について、渚のように熱く語ってみましょう。

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だんご大家族は一昔前に大流行した幼児向け番組の歌に登場するだんご。元ネタは『だんご3兄弟』で、一時的にブームとなっていたことも、CLANNAD発売当初にはすでに廃れてしまっていたことも当てはまります。ただ、だんご大家族は元ネタと違い、作中かなり長い間流行っていたようです。少なくとも四年以上はブームが続いていたようだ。以前話題にした時も書いたけど『およげ!たいやきくん』レベルの大流行。

最初は単なる渚の個性付けとしてのキャラクターだと思ってたら、意外にも物語の根底に大きく関わるキャラでした。だんご大家族はCLANNADのテーマのひとつと言われる"家族"を象徴するものです。

毎年朋也が渚に贈っていた『だんご大家族のぬいぐるみ』は幻想世界との繋がりをはっきりと示すキーアイテムです。幻想世界の少女がガラクタ人形を助けた三匹の獣に対して「優しい匂いがした」と言っているのは、その獣から母の匂い――だんご大家族のぬいぐるみを抱いていた渚の匂いを感じたからです。幻想世界の獣で個体がはっきりしているのはその三匹だけ。それ以外には風子の木彫りのヒトデもありますが、さすがは思いを込めて700個も彫ろうとしていただけあってたくさんいます。ここでもだんご大家族は重要な立ち位置にいます。

これらはビジュアルファンブックでのインタビューによって確定したものですが、実はそこではっきり「(優しい匂いとは)渚の……母親の匂いなんですよ」と麻枝さんが言ってます。幻想世界の少女が汐であることを確定させる発言なんですが、「じゃあなんで渚は幻想世界ラストまでの記憶を感覚として持っているのか」という新たな疑問が生じ、さらに想像(妄想)を駆り立てる結果となりました。

第31回「岡崎朋也」

第31回は自称不良のクールガイ、孤独を気取ってもつまらない男だが誰かと"朋"にあれば輝ける主人公、「岡崎朋也」だッ!

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朋也はその名の通り、誰かのために生きることで輝ける男です。バスケという生きる目的を失ったためにひねくれて斜に構えてはいますが、根は優しく人のために頑張れる奴。

父親譲りの不器用な性格で数年前から父とすれ違いの日々を続けています。父との喧嘩が原因で肩を壊したことよりも、それ以来父が他人行儀になってしまったことのほうが怒りのウェイトが大きいことから考えても、彼が心の底では"家族"の温もりを求めていることがわかります。

父と顔を合わせたくないがために夜遅くまで帰宅せず、結果は遅刻常習犯。学費はおそらく父が払ってるはずだし、そのへんはもう高校生なんだから自己責任なのですが、まだまだ朋也は精神的に子供なのですべてを父親のせいにして拗ねてしまっています。それは逆に、怒りの矛先を父に向けることで心の平穏を保っているとも言えます。もし彼の肩が父のせいでなく、りえちゃんのように事故で失われたものだったとしたら……憤りをぶつける相手がいなかったら、彼はどうなっていたでしょう。その時は荒っぽいとはいえあの父・直幸が朋也を支えてくれて、未来は大きく変わっていたかもしれません。

CLANNADは未熟な朋也がこの"町"で"時の流れ"と共に"人"との出会いを経て少しずつ成長していく物語でもあります。

その中で生涯の伴侶と出会うこともありますが、幸村・春原兄妹・勝平・芳野・秋生シナリオや草野球シナリオのように先達や友人との出会いで成長していくことも多いです。そういうバランスの良さというか男女比率の良さが気に入ってます。

今回のSSは「CLANNAD 10years after ~朋也~」です。

第32回「岡崎敦子」

第32回は朋也が無意識に求める母性の原点? 直幸最愛の妻にして今は亡き朋也の母、「岡崎敦子」について語りましょう。

敦子は、朋也が母の顔すら覚えていないほど小さい頃に交通事故で亡くなっています。最愛の妻を失った直幸は、渚を失った朋也のように自暴自棄になりました。だが直幸は朋也と違い、我が子だけは最後まで手放さなかった。それは客観的に見ると頼る人がいたかいなかったかの違いでしかないのかもしれませんが、我が子を朋也は手放したが直幸は手放さなかった……その結果だけは事実です。

直幸に頼る人がいなかったと思われるのは、敦子と直幸がふたりとも学生だった時に周囲の反対を押し切って結婚したからです。それを期に直幸は高校を中退し、敦子と暮らすために働くようになった。故郷の地から遠く離れたこの町で暮らし始めたのも、その辺と無関係ではないでしょう。

留年を考えなければ直幸は18歳(高校3年)で結婚したことになります……ていうかよく考えたら卒業間近で中退したんだな。敦子のほうは最低年齢16歳(高校1年)で、最高でも同学年。大学生とは考えにくい。要するに奥様は女子高生なわけですね。直幸もやりおるわい。小さなアパートで二人暮らしを始めて、朋也が生まれ、そして……と、意図せず朋也は直幸と似た道のりを歩んでいたわけです。

幼い頃から母親がいない男子は無意識に"母"を求める、と言われています。それは朋也も例外ではないようで、初恋は小学一年の時の担任で「同級生よりいつも年上の女の人に憧れてた」と発言しています。そう考えると、渚はともかく早苗さんや美佐枝さんに対する朋也の態度は他の同年代女子に対するそれとは違うように思えます。ただ朋也が求めているのは「母親」でなく「母性」なので、年上でないとダメなわけじゃないのは智代や有紀寧を見ればわかります。その点からすると芽衣やことみは母性が弱いかも。りえちゃんも年下なのでシナリオを妄想する際はその辺に気をつけてます。

第33回「岡崎直幸」

第33回は学園編の出番は少ないけどいろんな意味で印象に残る存在、CLANNADのクライマックスを担う重要人物、いつのまにかやり終えていた男、「岡崎直幸」だっ!

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人によってCLANNADのクライマックスは異なると思いますが、私にとってCLANNADという物語のクライマックスは直幸でした。そもそも朋也=自分というプレイスタイルでなく、朋也の人生を見守るような視点でプレイしていたからね。最初のプレイで自称不良の朋也になりきってプレイしようとしたんだけどうまく感情移入できなくて仕切り直したし。「このなんちゃって不良が!」とか、どうしても背後霊みたいな視点になっちゃう。CLANNADの時代背景は携帯電話もないし土曜も授業だから最近の学園物よりは感情移入しやすいはずなんだけどね……。

ともあれ結果的に直幸に近い視点でプレイしていたため、彼の話が一番印象に残るシーンでした。アニメでもその話は力が入ってて嬉しかった。理樹が力入れてんだぜ。

あと、本編の4月15日に(渚が)「気になる」or「気にならない」という選択肢をそれぞれ選んだ後の朋也の独白が私にとっては印象的で、直幸(の思い)が選択肢となって朋也を導いている……と妄想していました。

直幸の本来の性格は最後のシーンで片鱗が見られただけなので想像の域を出ないんですが、とりあえず敦子を失ってからの直幸は「酒とギャンブルに逃避した飲んだくれ親父」という典型的なパターン。朋也とは言い争いの日々だったようだ。しかしそれも朋也に怪我を負わせてからは別人のように弱々しく、よそよそしくなった。

自らの手で息子の未来を閉ざしてしまったことで、どっかの人類補完計画親父のように息子と正面から向かい合うのが怖くなってすべてから逃げ出した、というのが私の認識ですが人によって感じ方は違うかも。SSの後書きにも書いたけど、やり終えていたことに気づくまでの間、直幸の意識はこっちの世界にほとんどないと妄想してます。

そんな直幸は果たして立派な父だったのか? 客観的に見ればもっと立派な父がいくらでもいるんですが、それは父親としての責任すら放棄した朋也との比較だからね。彼は父親として最低限の義務だけは最後までやり遂げたのだから。

今回のSSは「CLANNAD 10years after ~直幸~」です。

第34回「岡崎史乃」

第34回は岡崎一族ラストワン、旅の終着点に待つひとりの母……直幸の母にして朋也の祖母、「岡崎史乃」について語りましょう。ぷちAAも作成したよ。

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前回語ったCLANNADの私的クライマックスシーンである直幸ポイントの起点が、今回語る史乃です。

出番はそのシーンだけなのに立ち絵まであるので印象に残るキャラです。まぁあのシーンは立ち絵かイベントCGがないとインパクトが弱くなるかもね。ここはクライマックスへの序曲として素晴らしく、夕焼け、岬、潮波の音、年老いた母、願いが叶う場所 II……と、怒涛の涙腺崩壊コンボでした。

朋也にとって史乃は祖母なのですが、小さい頃に――直幸がここで誓いを立てた時に一度会っただけなので覚えていなかった。この点からしても直幸は一度も母に頼ることなく朋也を育て上げたことが窺えます。

それでも史乃は息子が父として頑張る姿をどこからか見守っていたようです。冷静に考えると息子の心情を細かいところまで察しすぎてる気もするけど、そんな野暮なことは言いっこなし! それが母の愛だッ!

トゥルーエンドでは汐の頭を撫でる史乃が描かれていて、トゥルーエンド後の朋也と直幸の和解を読者が想像できるようになってます。私も当時は脳内妄想を駆り立てられた。SSを書くまでになるとは思いもしなかったけど。

第35回「幸村俊夫」

第35回は定年を間近に控えたかつての熱血鬼教師、多くの教え子を見送り続けて数十年……その役目を終えた老兵は去りゆくのみなのか? 「幸村俊夫」ッ!

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人間、年を取るとプライドが肥大化して怒りっぽくなるか達観して穏やかになるかの両極端になりがちです。もちろん例外も多々ありますが。そして幸村先生は後者に当たります。若い頃はかなりの熱血教師だったようで、生徒と正面からぶつかっていく教育方針でした。親にも説教したり、生徒と拳で語り合うこともあったようです。

高校は義務教育じゃないので基本的に選択の余地があって入学するものです。理由はどうあれ本人が選んだ道のはずです。たまに親が決めてしまったりもしますが、それに反対する自由もあるはずです。

そんな風にして入学した高校を中退するのは、自分で決めた道を途中で放棄してしまうことです。そんなことではこれから先の長い人生を乗り越えていくのは難しい……幸村先生はそう考えていました。敦子のためとはいえ、直幸は中退したのが良くなかったのかもしれん……。

学校は人生の縮図。入学式で産声をあげた赤ん坊が卒業式で老いて天に召されるまでの三年間をどう過ごすか、それがその後の人生に大きく影響する……それは自分の高校生活とその後の人生を顧みると痛いほど身に沁みます。できることなら人生をリセットやニューゲームでなくロードしたい。ノーセーブでここまで来たから無意味だけど。

今回のSSは「CLANNAD 10years after ~幸村~」だの。

第36回「杉坂」

杉花粉襲来の季節です。第36回は思い込んだら一直線、りえちゃん以外はみんな敵……仁科りえ命の暴走系女子、「杉坂」だッ!

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まず最初に、脅迫は犯罪です。新宿の狼に俺法で豚箱へ放り込まれるくらい重罪。なので、杉坂のしたことは決して許されないことです。それを踏まえた上で、私は杉坂というキャラクターが割と気に入ってます。

無理やり悪役に仕立て上げられたようにしか見えなかったサッカー部などとは違い、CLANNADという物語の中で杉坂はとても良い悪役(矛盾した言葉)に感じました。

実際、杉坂の行動は渚シナリオのターニングポイントとなっていて、それによって朋也と渚の仲は急接近し、晴れてふたりは恋人同士になります。坂道を支え合いながら一緒に登っているふたりだから何もしなくてもいつかは恋仲になったでしょうが、その坂道にハードルを設置してふたりに変化をもたらしたのは紛れもなく杉坂です。アニメではふたりの仲の進展を不自然に先送りしたせいで単なる障害役に成り下がってしまったけど。

そんな杉坂の印象的だったところは「澄んだ表情で校舎に戻っていった」という描写。罪悪感に駆られて謝罪に来た様子だったが、「りえちゃんの邪魔をしないでください」と一方的に話を進めた挙句にこれです。素晴らしい敵キャラっぷり。アニメでは経緯が若干変わったせいで印象がさらに悪くなった。詳しくはアニメ感想記の第15回で。今回のSS「CLANNAD 10years after ~杉坂~」でその辺の心情を好意的に想像してみたけど、どうだろう。ともあれ、その行動によって春原の本音を引き出し、後輩にたかるろくでもない不良であった春原に対する読者の印象を大きく好転させる役割も担っています。

そして最終的には渚に協力するようになり、友人となり、渚の卒業式や出産祝いにも駆けつけるようになる……それはまさしく「敵として出会い、友と呼び別れる」といった少年マンガの王道的展開。……と、大仰に持ち上げてみたが実はそんな和解の描写は一切なく、いつの間にか友人枠に入ってるという『闘将!拉麺男』の仲間キャラみたいな展開なんだけど、それも想像の余地が多くて楽しかったり。

杉坂も「渚と出会った人間はみんな変わっていく。どんな方向かはわからなかったが……少なくとも最低から違う場所へ向けてだ」という朋也の言葉に該当するキャラのひとりだと思っています。

第37回「原田」

第37回は名前もなけりゃ出番もない、ましてやセリフなんかありゃしない……薄幸の合唱部員3、「原田」(仮名)ッ!

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原田は合唱部三人目の部員です。が、登場するのはことみシナリオだけでセリフも一言しかありません。さらに名前もありません。合唱部員3です。

原田という名前がついたのはオフィシャルコミックで、アニメでも同じ名前が使われました。オフィシャルコミックでは地味なメガネっ子、アニメではメガネはしてませんが出番もセリフも少ない地味っ子。電撃コミックスでもメガネの合唱部員がいますが、原田かどうかわかりません。

そんな「村人3」といった扱いの原田なので、語ることもほとんどない。渚シナリオでも創立者祭リハーサル時などにはその場にいたと思われますが、描写がまったくないので存在を認知できません。仁科・杉坂コンビが演劇部の助っ人をする際にも登場しないので(オフィシャルコミックやアニメでは登場)、前に原田SSで書いたように部を掛け持ってるのではないかと想像してました。そんな今回のSSは「CLANNAD 10years after ~原田~」だ。

いてもいなくても変わらないようなキャラですが、町の住人が多く登場するCLANNADの物語では何かしら役割もあるでしょう。枯れ木も山の賑わい、って言うしね(酷。

アニメではそんな原田より幸薄い人がいたのですが……それはまた次回に。

第38回「柊勝平」

第38回は忘れられた男、消えた後継者、「柊勝平」っ。結構ボロクソに書いちゃったので、勝平好きの人には先に謝っておくね。

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    ノ 〈ノ从リ)〉'
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     白┬i!
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アニメでは存在を抹消された勝平くんです。まぁ、あざといキャラではある。女性受けを狙ったような外見に、毒舌とか悲劇のスプリンターとか……ちょっと鼻につくかもね。

そこは気にならないけど、仕事に関する描写が気に食わないんだよなー。芳野の時に語った朋也との対比で好感度がダウンしたのがこの勝平です。ギャグとわかってても酷い。Keyキャラは精神的に子供っぽいキャラが多いけど、その中でもダントツでガキ。これが世間知らずの坊ちゃんならまだしも捨て子の孤児だからね。違和感が半端ない。

個人的に笑えないそのギャグさえ見なかったことにすれば、勝平はまぁ普通にいい奴……かな? 勝平は序盤の描写のせいでどうもキャラ造詣がつぎはぎに感じたんだよなー。終盤だけ見ると結構いい奴なんだけど、序盤のいらんギャグがいつまでも引きずってる感じ。AIR終盤で往人がシリアスになったら違和感があったのと同じ現象だ。第一印象って大切よねえ……(byエタメロのフィリー)。

勝平はCLANNADという物語での役割を考えると、町の外からやってきてこの町に留まることにした人間、となかなか良い立ち位置。AIRで言うと佳乃シナリオの往人です。なのにアニメでは画面外にすら登場しませんでした。私が言うのもなんだけど、そこまで存在抹消しなくても登場するチャンスは結構あったよね。エピローグで椋と一緒に出てきても唐突すぎるから、芳野の過去回想とか……背景だけど。

今回のSSは「CLANNAD 10years after ~勝平~」です。

第39回「坂上鷹文」

第39回は智代が誇る弟、智代アフターでツッコミと彼女を得た男。百人いる! 「坂上鷹文」ッ!

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鷹文は智代アフターでイメージが大きく変わったキャラ。陸上、元彼女持ちという過去設定が付加されました。CLANNADでは普段大人しいが追いつめられるととんでもない行動に出るタイプ、というイメージだったので、智代アフター発売前は河南子という元彼女がいた設定に違和感がありましたが、実際に見るとキャラ自体が大きく違っていたので違和感はなくなった。ただ、陸上関連は勝平と被ってたので(こっちは遠距離だが)鷹文のエピソードは印象が薄い。

むしろ本編よりD&Tの鷹文のほうが印象深い。ていうか智代アフター自体D&Tのほうが印象深かったりするから困る。初回プレイ時に「鷹文は100人いる」という選択肢を選んでいたので、その設定だけで大いに笑え、ラストフロアの音楽演出で本編以上に盛り上がり、エンディングは物悲しさを残りつつ感動……と、なんとなくすっきりしないラストだった本編の溜飲を見事に下げてくれました。

智代アフター本編の鷹文で印象的なのは、春原に続く朋也の相方というポジションです。やっぱり朋也はひとりではつまらない人間……ツッコミが"朋"にいてこそ輝けるのだ。

第40回「勇」

第40回はちょっぴりシスコンでお姉ちゃんっ子な弟くん、そのブレンの使い方イエスだね、「勇」っ!

勇は大好きな姉を不良に奪われたと思い込んでいる小学生の男の子。そこで不良の元締めと噂される有紀寧に会いに資料室まで潜入してきました。

勇の姉が春原に似た黄色い頭の奴と付き合いだしたのが原因なのですが、そこで思わずクインシィ・イッサーとジョナサン・グレーンという名前が頭をよぎってしまい、勇が伊佐未勇(ブレンパワード)に見えるようになってしまった思い出が。

勇は朋也や春原が有紀寧と関わらなかった場合でも資料室には来ていたはずなので、どの未来でも有紀寧と面識があると想像し、なっちゃんと同じようにトゥルーエンド後の世界で渚から汐への世代交代の間隙を埋める存在として重要なキャラクター、と妄想しています。

今回のSSは「CLANNAD 10years after ~勇~」だよ。

第41回「乾」

第41回はCLANNADのちょい役筆頭、名前すら覚えてもらえない可哀想な担任、「乾」先生について語ろう。

乾先生は朋也が所属する3年D組の担任を勤める数学教師。朋也が「年甲斐もなく転けていた」と述べていることからそれなりに年季の入ったベテラン中年教師と思われます。進学校の三年生を担当しているんだから当然か。

遅刻常習犯の問題児ふたりを生徒に持ちながらも、色眼鏡で見たりせずにきちんと指導している様子が伺えます。進学させようとしてるし。

幸村先生も卒業式の際に「乾が悲しむ」と言っていますが、朋也たちが無事に卒業できたのは幸村先生だけでなく乾先生の力も小さくなかったはずです。乾先生という縁の下の力持ちがいたことに、朋也や春原もいつか気づく時が来るでしょう。

第42回「春原陽平」

第42回はCLANNAD学園編のエンターティナー、朋也にとって最高の相方、「春原陽平」だっ!

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春原に対する第一印象は朋也同様あまり良くなかった。智代が未登場だったから余計に。智代に蹴られまくるシーンを見てたらかなりマシになってたと思う。

その印象が少し良くなったのは、ところどころで見られる子供っぽいところ。朋也も似たような部分がありますが、小学生のやんちゃ坊主のような微笑ましさがあります。特に廊下でジャンプして天井に手を伸ばすところなんかは自分にも覚えがあったりして懐かしく思い、親近感が湧きました。

春原は弱者に強く強者に弱いという典型的な下っ端系の不良ですが、陰湿なタイプではなくカラッとしています。要は根に持たないってことです。まぁそうでないと朋也とは付き合えないよな。それどころか朋也の暴虐の数々を見ていると、春原が異様に心が広いキャラに見えてくるから不思議だ。

基本的にギャグキャラで普段は悪い印象のほうが強い……そんな春原だからこそ、稀に見せるシリアスな部分が深く印象に残りました。風子シナリオ終盤の春原ポイントは学園編で一番印象に残るシーンだ。

春原は一言で言うと馬鹿ですが、自分が馬鹿という自覚があって敢えて馬鹿をやっている節があります。ツッコミ待ちのボケと思われる部分もあり、朋也の予想外の反応に驚くことも。「そこは頷いてくれよっ……て、頷いてるーッ!?」はその典型。春原陽平バッドエンドは春原が朋也の反応をよく理解しているからこそ、ヘンになった朋也の反応に戸惑っているのがそこかしこに見られて面白かった。

春原兄妹エピローグで本人の口から語られますが、高校生活というひとつの人生を朋也と一緒に馬鹿をやって過ごす……それが春原の本音です。そして朋也のほうも春原がいたからこそ高校生活を最後までやり遂げることができた。幸村先生がこのふたりを引き合わせたのはそんな意図があってのことでしょう。渚がいなくてはCLANNADの物語は成り立ちませんが、そういう意味では春原もCLANNADには欠かせない存在です。

今回のSSは「CLANNAD 10years after ~春原~」なんだぜ。

第43回「春原芽衣」

"春"の"原"っぱに草木が"芽"吹く……それはまるで"衣"を広げたような風景。第43回は、しっかり者のちょっぴり小悪魔系妹、「春原芽衣」だよ~。

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  r§ レノノ)))§、
  !'"ヘリ ゚ ヮ゚ノリ゙ヾ!
      と)笥i〉
      く/_l〉
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芽衣ちゃんは兄とは正反対の常識人にして万能系妹、朋也が本編で想像したようにド○ミちゃんです。しっかり者でちゃっかり者、草野球でも活躍するハイスペックっぷり。智代がスーパー系完璧超人ならば、芽衣はリアル系完璧超人と言えましょう。

……が、やっぱりこの世に完璧などというものはない。意外にも芽衣は兄以上に鉄砲玉のような性格だったりします。良く言うと即断即決ですが、後先や状況を考えずに行動することもしばしば。春原兄妹シナリオでの芽衣は兄を思うあまり兄の考えを無視して暴走しており、結果的に悪い方向へ話が進んでしまいます。

それは芽衣がサッカーをやっていた頃の兄を誇りに思っているから。昔のように馬鹿でも頼もしい兄に戻ってほしい……そんな気持ちが芽衣を突き動かしていたのでしょう。

だが「なにもかも変わらずにはいられない」というCLANNADの物語で「失った過去を取り戻す」ことは難しい。最終的に芽衣は兄の真意を知り、未来に目を向けていくことになります。

今回のSSは「CLANNAD 10years after ~芽衣~」です。

第44回「西野」

第44回は風子シナリオ以外で「風子の思い」を最も強く受け取った男の子、「西野」について語りましょう。

西野はCLANNADビジュアルファンブックに記載されたCLANNAD Another Storysの風子シナリオ外伝「小さな宇宙」に登場する小学生の男の子。隣町の病院に入院していて、病院を抜け出した際にヒトデを配る風子の懸命な姿に惹かれ、声をかける。

この話は風子シナリオ以外、とりわけ渚シナリオ~アフターストーリーの未来を朋也が選んだ場合の風子の舞台裏が描かれています。

西野は隣町からあの坂の上の高校まで抜け出してきて、風子と出会います。かなり遠い距離を歩いてきてる気がするが、まぁ気にしない。未来に絶望していた西野少年は、風子と出会ったことで未来へ生きる希望をたくさんもらいました。

西野はCLANNADの中で風子から最も多く木彫りのヒトデをもらった人間として、いろいろと想像が膨らむキャラクター。いつの日か風子と運命の再会を……と想像を広げたのがCLANNATSUで、その未来は風子SSでちょこっと触れました。本当は10years afterも書きたかったけど、完成しませんでした。

最終回「岡崎汐」

CLANNAD MEMORIESもついに最終回! そんな第45回はクラナドマンII世の主人公、CLANNADの真・ヒロイン! 町の住人の思いを継ぎ、町の思いを継ぎ、光を継ぐ者……パパだいすき「岡崎汐」爆誕ッ!

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     , '´  `ヽ
     <i イノリノ)))
      从(l ゚ -゚ノ!
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      く/_lゝ
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汐はCLANNADのはじまりと終わりを司る存在。ニワトリが先か卵が先か、みたいな話ですが、CLANNADの物語は幻想世界ラストの「……さようなら……パパっ……」から始まっています。

「汐」という名前は渚と密接した名前で、潮の満ち干を意味しています。時には近づき、時には離れ、ずっとそれを繰り返して見守っていく……そんな願いを込めて渚は汐という名をつけました。

そして汐は、大まかには「海」を意味します。何もかもを包み込み、育むような……大きな優しさを持った人間になってほしい、という願いもあったようです。

そんな両親の願いもあって、トゥルーエンド後の世界で汐はとんでもないスーパー系完璧超人に育ちました。優しさと芯の強さは渚! 危機回避能力とキツいボケツッコミは朋也! 全力の遊び心は秋生! 閃きとアイディアは早苗!(マイナスです) 投擲能力は杏! 膨大な知識はことみ! 超人的身体能力は智代! スピードと屁理屈は風子! そしてその実体は! かつて"完璧・壱式(パーフェクト・ファースト)"と呼ばれた偉大なる完璧超人クラナドマン! といった感じ。

汐はただ完璧なだけでなく、うまい具合に欠点(早苗の閃きや両親から受け継いだ絵画能力などの芸術センス)も思い浮かぶので、次世代ヒロインとして想像が広がるキャラクターです。だからこそ私も含め、汐の成長した姿を想像する人が多いのでしょう。

そんなCLANNAD ~AFTER AFTER STORY~をSSという形でこれまで断片的に妄想してきましたが、汐の未来はそれこそCLANNADをプレイした人や観た人の数だけあるので、その中の小さな可能性のひとつとして楽しんでもらえたら幸いです。

10周年最後のSSは「CLANNAD 10years after ~汐~」です! ここまで読んでくれてありがとう!